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2021年1月19日 (火)

Clinical 口腔癌の早期発見を目指して ~光学機器を用いた検出法~ ⑤

続き:

4. 口腔粘膜蛍光観察装置による実際の蛍光像

1) 正常粘膜における蛍光像

 正常の舌縁部では青緑色の自家蛍光様々な発色を認める。部位により励起光の照射角度、照射距離によって若干の差はあるものの、青緑色として観察される。しかし、舌背部においては舌乳頭が存在しているため明らかな青緑色は認められぬ。また血管のある部位では蛍光ロスが観察、→暗く映る。頬粘膜においてもほぼ同様で、照射角度、照射距離によって若干の差はあるものの青緑色として観察。

2)白板症における蛍光像

 右側舌縁部に白色病変を認める図(略)の例。角化が強い白色病変は、角化層のケラチンの影響により蛍光色が強化される(蛍光色の亢進)。しかし、病変周囲では蛍光の変化ない。蛍光口唇の強い部位においては、病理組織学的に、上皮の過角化を示し、さらに角化の強い部分は蛍光の亢進もより強化される。

3) 前癌病変における蛍光像

 左側舌縁部に紅斑と白斑を認める図(略)の例。紅斑部は蛍光波が吸収され、蛍光ロスがみられ、白色病変では蛍光色が亢進。また、病変周囲では蛍光の変化は認められない。病理組織学的に、蛍光ロス相当部では高度上皮異形成が認められた。

4) 表在性扁平上皮癌における蛍光像

 右側舌縁部に紅斑を認め、その周囲に白斑がみられたが、硬結は認めない図(略)の例。紅斑部は蛍光波を吸収し蛍光ロスがみられ、白色病変は蛍光色亢進された。また、病変周囲では蛍光の変化は認められなかった。病理組織学的に、蛍光ロス相当部で早期扁平上皮癌が認められた。

5) 扁平上皮癌における蛍光像

 左側舌縁部に硬結を伴う腫瘍がみられる図(略)の例。腫瘍中心部の角化した腫瘤は蛍光色が亢進し、腫瘤周囲は硬結の範囲に一致して蛍光ロスを認めた。病理組織学的に、蛍光ロスを認めた部位に高分化型扁平上皮癌を示した。

6) 上顎歯肉扁平上皮癌における蛍光像

 右側上顎歯肉に顆粒状の腫瘤を認め、その近心に紅斑がみられる図(略)の例。腫瘤の範囲に一致して蛍光ロスを認めた。また、腫瘍近心の紅斑部も蛍光波を吸収し程度は低いものの蛍光ロスを認めた。病理組織学的には、蛍光ロスを認めた腫瘤の部位は扁平上皮癌を示した。また近心の紅斑部は高度上皮異形成を示した。

 硬口蓋や付着粘膜は咀嚼粘膜のため、ヨード染色法では判定が困難だ。しかし、このように口腔粘膜蛍光観察装置では硬口蓋でも観察可能であるために有用であると思われる。

7) 左側下唇アフタ性口内炎における蛍光像

 左側下唇に境界明瞭である淡黄色の潰瘍と周囲に紅軍がみられる図(略)の例。病変に一致して蛍光が亢進し発色を呈し、周囲の発赤を示す紅軍の部分は、程度は低いものの蛍光ロスを認めた。これは発赤を示す部分は血流が増し、毛細血管のヘモグロビンに吸収される性質によるものと思われる。さらにその周囲では蛍光の変化は認められなかった。

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