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2021年2月28日 (日)

Clinical 歯科医療における感染症対策 ⑤

続き:

3. 検査

 現時点での検査をまとめた。PCR 法、LAMP 法はSARS-CoV-2 の核酸、抗原は特有の蛋白の有無を調べる。PCR 法、LAMP 法、抗原定量は鼻咽頭、鼻腔、唾液のいずれの検体も可能であり、無症状者は鼻咽頭、唾液を用いる。感度はPCR 法が最も優れ、LAMP 法と抗原定量は PCR のおおむね90%くらい、抗原定性は発症からの時期によるが50%程だ。抗原定量は技術不要で1時間くらいで結果判明する。抗原定性は唾液を用いることができず、発症から9日以内と制限有り、特殊な技術や機器を必要とせず、30分ほどで結果が判明するので利便性が良い。

4. 歯科診察で注意すべきこと

 SARS-CoV-2がヒトの細胞の ACE2 受容体に結合し細胞内に RNA が侵入する際に、TMPRSS 2という酵素が重要な役割を果たしている。舌や歯肉の粘膜細胞にAE 2 と TMPRSS 2が発現している。

 このことは、グラフは略。すなわち、発症からの日数とウィルス量を示したもの。鼻咽頭拭い液と同様に唾液にもSARS-CoV-2は多く存在するため、口腔内の検査や処置は感染を周囲に波及させる可能性がある。したがって、十分な感染防止策を講じて診療にあたることである。日本歯科医師会の『新たな感染症を踏まえた歯科診療の指針』では、マスク、手袋、ゴーグルあるいはフェイスシールドを装着することによる個人防護、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムによる歯科用ユニットや環境の消毒、3密(密閉・密集・密接)の回避や換気など診療環境に関する留意点、スタッフの健康管理、休憩室での注意について記載されており、参照にしてください。ここでは、指針に触れられていない点をいくつか記載する。

 日本環境感染学会から出されている「医療機関における新型コロナウィルス感染症への対応ガイド(第3版)」に載っている。従事者がCOVID-19感染患者と接触した時の状況、暴露リスクの評価と対応のことを表で示している(略)。感染経路は飛沫、接触感染が主で口、鼻、目の粘膜が主な侵入門戸である。高リスク、中リスクに該当すると、暴露から14日間の就業制限が必要、スタッフ、医療機関に大きな影響だ、中リスクや高リスクにならないように、患者も医療従事者もマスク着用のこと、患者が未着用の場合は、従事者側はマスクとゴーグルが必要である。

 暴露後の就業制限とPCR検査の適応についてのことは、医療従事者がSARS-CoV-2に暴露したとしても、すぐに PCR 検査の対象となるわけではない。暴露後早期であれば検出感度は低いと予想されるため、検査に依存せず就業制限を優先させる。

 就業制限が必要と判断された医療従事者については、可能な限り早期に自宅などで隔離待機とする。暴露後14日以内に症状が出現した場合は PCR 検査を実施する。陰性であれば14日間の自宅待機後に就業可とする。陽性の場合には入院あるいは自宅隔離などの措置がとられ、①発症後に少なくても10日が経過しており、解熱後および症状軽快後72時間経過、あるいは②解熱後および症状軽快後24時間経過した後、24時間以上間隔をあけ2回のPCR が陰性となれば退院あるいは隔離解除となる。

 その後の就業開始時間に関しては、医療機関の感染対策部あるいは所属部署の責任者と相談となる。

 

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