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2021年2月25日 (木)

Clinical 歯科医療における感染症対策 ②

続き:

1. 感染経路

 SARS-CoV-2は脂質膜であるエンベロープをもつ RNA ウィルスである。表面に突出しているスパイク蛋白が気道などの細胞の表面に存在する受容体ACE2に結合することで、細胞内にウィルスのRNAが侵入する。

 主な感染経路は飛沫感染と接触感染である。感染者がマスクをせずに咳をすると小さなウィルスを含んだ飛沫は約 2m 先まで飛び広がる。飛沫とは、大きさがおおむね5μm以上の粒子のことを示す。飛沫に含まれたウィルスが鼻や口、目などの粘膜から体内に入ることで感染する経路が飛沫感染である。感染予防のため、ソーシャルディスタンスとして 2m 以上離れることが推奨される。落下した飛沫にはウィルスが含まれており、付着したところを触り、その指で鼻や口の粘膜を触ると接触感染となる。

 飛沫感染だけでは説明がつかない感染例も報告されている。密閉・密集・密接の3密の条件によっては、大きさが5μm未満の飛沫よりも小さい軽い状態、いわゆるエアロゾルとしてウィルスを含んだ粒子が、数時間、感染力を保った状態で空気中に浮遊している可能性がある。中国の飲食店、バスの中、米国の合唱団でもエアロゾルが関与したと考えられる感染拡大事例は多く報告されている。

 通常の呼吸でも口元からわずかな粒子が排出され、会話や、さらに大声で話すと寄り多くの粒子が排出される。普通の鼻呼吸よりも、ハーハーと運動時のように速く深く呼吸した方が粒子の排出が多いこと、また声を出すとさらに多く、大声で話す時が最も多いことが分かる。このような知見により、密閉された空間、飲食などで声が大きい状況では感染のリスクを高め、多くの人数が集まる密集した状況では一人の感染者から一度に多くの人に感染させてしまうことが分かってきた。普段からソーシャルディスタンスを意識し、特に近距離での会話の時にはマスクの着用が勧められる。

2. 感染予防対策

 SARS-CoV-2はエアロゾルとしての空中では3時間、ステンレスやプラスチックの表面では72時間生存すること、皮膚では9時間生存し、80%エタノールによって15秒で不活化されることが示されている。従って、金属製のドアノブ、エレベーターのボタン、駅の券売機のタッチパネル、電車のつり革などには長時間ウィルスが付着している可能性があり、接触感染予防のためには、不特定多数の人が触れたものに直ちに触れた後は、アルコールで手指を消毒する必要がある。

1) 感染の連鎖の状況

 感染者は発症、すなわち症状が出現する数日前からウィルスを排出し、そのピークは発症当日といわれている。即ち、症状が現れる前から他の人に感染の心配がある。

 例として、1次感染者100人の発症4日前~発症後14日間に亘り、その接触者2761人の追跡した研究結果から、接触した人数の中で感染した2次感染者の割合を示している。――2次感染者は22人で、全例が1次感染者の発症5日目までの接触によるものであった。発症6日目以後の接触は852人あったがそこでの感染はなかった。1次感染者の発症前に接触した735人からも、1%の2次感染者が出た。つまり症状が現れる前から発症5日以内に感染リスクがあり、6日目以後は極めて低いということがいえる。

 感染者の鼻腔拭い液中のウィルス量の推移を示すことからも、 RT-PCR 検査においるサイクル閾値(Ct)とは機械が検出できるまでに必要とする増幅回数のこと・。20回までは感染者のウィルス量が多く、35回以上では少ないとということ。これは、発症後7日目までにウィルス量は急激に減少し、8日目以降は少ないことが分かる。

 

 

 

 

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