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2021年3月29日 (月)

プラスチック依存社会からの脱却 ⑥

続き:

国際的な規制をめぐる新しい局面

 プラスチックに含まれる添加剤がマイクロプラスチックと食物連鎖を通してヒトに戻ってきてその健康に影響を与えかねないという問題は、現在はまだ行政機関等が何らかの規制に取り組む段階に至っていない。日本においてもマイクロプラスチックをめぐっては野生生物への影響に関しては検討しているいるが、ヒトへの影響については今後の課題という段階にとどまっている。

 添加剤が多種多様に及ぶこと、マイクロプラスチック以外の経路からもヒトに暴露することなどから、総合的な調査検討を経なければ結論が出にくい問題であり、多分野の研究者、行政機関や企業なども含めた組織的な形での幅広い取り組みが必要だ。

 一方、国際的には、添加剤とプラスチックの問題への具体的な動きが出てきている。ストックホルム条約(正式名称「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」)において、最近、プラスチックに添加される紫外線吸収剤である UV-328 という物質をめぐって、条約が規制対象とする残留性有機汚染物質 (POPs) に当たるのではないかという観点から、環境への残留性や毒性、長距離移動性などの検討が行われている。

 勿論、この物質がストックホルム条約による規制対象となったとしても、数多くの添加物のうちの一種類が規制されるにすぎない。しかし、関連する化学メーカーなどをはじめ、関連産業の警戒心は大きいのだ。UV-328 については欧州ではすでに懸念物質として指定されたことから業界が自主規制しているが、同様の性質は他の紫外線吸収剤も持っているため、関連業界はそれらへの波及を懸念しているものと思われる。紫外線吸収剤なしではプラスチックという素材が実用的に使えなくなってしまうという本質的な問題が背景には存在する。

 従来、プラスチックの添加剤の規制を巡っては、直接的な毒性が明らかなものをはじめ、日本を含めて必要な対応を順次進めてきた。桁違いに濃度の低いものでも生物に影響が出ることのわかったビスフェノールAなどの環境ホルモンがプラスチック容器から溶出してくる問題についても、これが社会的に大きな話題となった2000年代以降、対応がとられ、溶出試験、即ち、製品から使用時に溶け出すかどうかを調べることにより規制されてきた。

 しかし、現在、ストックホルム条約などで問題になっているのは、そうした溶出試験をクリアしていた魚介類の消化管に入ったときには溶出して生物に吸収され、それが食物連鎖を通してヒトに影響が及ぶという、これまで想定されていなかったルートである。

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