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2021年3月 6日 (土)

生物多様性条約 ⑤

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条約の弱点を専門性から克服

 例えば、世界貿易機関(WTO)には、自由貿易の原則とそれに違反した場合に国際訴訟を起こせる権利を各国に認めるという機能がある。自由貿易の原則は、どのような取引にでも当てはまるものではなく、麻薬など違法取引は例外だし、当然、”環境配慮の例外“が存在。生物多様性の世界で困るのは「外来生物」という問題だ。アライグマや、縁日のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、クワガタといった昆虫など広い意味での飼育動物として海外から輸入されてきた。生物多様性条約で外来種に関する指針(法規制の設定の根拠)を作り共有することで、”環境配慮の具体の中身”が設定され、各国は、自由貿易制度下の訴訟リスクを下げながら、外来種に関する国際取引の規制強化に法規制を作ることができた。

国際協力資金の流れを設定

 生物多様性条約は、地球環境ファシリティーという基金に対して、その使途や活用の方針に意見を出せる仕組みを持っている。主として資金は先進国が供出するもので、期間によって変わるが4年間で4000億円程度を募り、途上国に支援・配分するという仕組みである。196カ国という、先進国も途上国も含まれる交渉の中で、資金を出しつつ成果に注文する側と、資金ニーズを伝えつつ資金活用ルールの柔軟化を願う側とで毎回激しい交渉になりつつも総意にいたる着地点を議論しまとめる機能もある。

 これら全体調整機能は地味だが国際社会には欠かせないものだ。

 その生物多様性条約は長期の目標設定をすることがある。2010年に2020年までの20の目標を設定した「愛知目標」を合意、生物多様性の価値を高め、取り組みの促進を図ってきた。2015年に国際総会で合意された国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標14、15で設定されたターゲットの多くが、ほぼすべての国連加盟国間で合意された愛知目標がもとになっている。

 

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