« 中国デジタル革命と監視社会の行方 ① | トップページ | 中国デジタル革命と監視社会の行方 ③ »

2021年4月28日 (水)

中国デジタル革命と監視社会の行方 ②

続き:

■ コロナで加速する中国のデジタル革命

 驚異的なスピードで進化を遂げる中国のデジタル・テクノロジーは、人々の行動にも変化をもたらしており、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)がこれに拍車をかけた。

 中国でスマホを使った「電子決済」が生活に欠かせないインフラとなっていることは、すでに多方面で論じられているが、それ以上に欠かせないのが「健康コード」であることはあまり知られていない。人口 14億人を抱える中国が曲がりなりにもCOVID-19を抑え込むことができた最大の理由は、強権的な都市封鎖と、それを支えるデジタル技術だ。

 2020/01/23、政府が武漢の都市封鎖に踏み切ると、中国のIT企業は「非接触」「非対面」「自動化・自律化」「遠隔操作」などをキーワードに、AI、5G、ロボット、ドローンなどを駆使した製品やサービスを一斉に投入した。なかでも「健康コード」は単なる感染者追跡アプリを超えて、社会の健康情報インフラとなった。

 アリババ・グループが感染者の接触確認機能を搭載したスマホアプリ「健康コード」の着想を得たのは2020年2月初めと言われる。大量のエンジニアを動員して昼夜分かたず開発を進め、2月4日にはβ版、同11日には杭州市で「健康碼」をリリースすると、その日のうちにダウンロード数は1000万を超えた。これは杭州市のほぼ全人口にあたる。2月15日には全国展開が始まり、上海では「随申碼」、北京では「健康宝」と呼ばれている。

 ユーザーは発熱、咳などの健康状態と、14日以内に高リスク地域に立ち入ったかどうかをアプリに登録、行政が保有する健康情報と照合されて「赤」「青」「緑」のQRコードが表示される。「赤」は 2週間の隔離、「黄」は 1週間、それを過ぎると「緑」となり、外出や通行の自由が保障される。「赤」となるのは感染確認者、PCR検査陽性者、濃厚接触者、高リスク地域入境者等だ。

 スマホの位置情報に加え、身分証明書アプリ「CTID(Cyber Technology ID)」、公的機関が持つ出入国管理情報、公衆衛生情報などと連動しており、感染のおそれがある場合には通知が届くシステムだ。

 さらにPCR検査履歴やワクチン接種情報が記録され、外出、出社、スーパーやデパートを含む建物への立ち入りや航空機、鉄道、バスなど交通機関の利用に不可欠な「通行許可証」兼「健康証明書」となっている。「健康コード」は電子決済と並んで最も重要な社会インフラとなったのである。

 一方で「健康コード」の機能拡張にプライバシー侵害や差別助長の懸念も出ている。杭州市は健康情報に喫煙、飲酒、運動、睡眠などの情報を加えて「健康スコア」として数値化する構想と言われ、ネットで批判が集まっている。

 

« 中国デジタル革命と監視社会の行方 ① | トップページ | 中国デジタル革命と監視社会の行方 ③ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事