« 香害―――新たな空気公害 ⑦ | トップページ | 香害―――新たな空気公害 ⑨ »

2021年4月 7日 (水)

香害―――新たな空気公害 ⑧

続き:

□ 香りつき製品の情報公開

 さらに米国では、市民団体「地球のための女性の声」(WVE)が香料業界の国際的な民間組織である国際香粧品香料協会(IFRA)に対して、香りつき製品に使用される約3000種類もの香料と、その調合に使うすべての化学物質の情報公開を求め、その回答を2015年の報告書にまとめた。

 その結果、日本企業も含むIFRAの会員企業が使用している約3000種類の化学物質の約半分(1506種)は、国連の GHS (化学品の分類および表示に関する世界調和システム)で、急性毒性・危険・有害性などが認められている物質であることが判明。

 勿論、IFRAの研究機関である香粧品香料原料安全性研究所(RIFM)は、それら個々の成分について安全性試験を行なっている。しかしIFRAは、たとえ有害性を認められる物質でも、健康に害を及ぼさないギリギリの暴露量(無作用量)を求める評価法(QRA:定量的リスク評価)を採用する、そして、香料の使用量を決定する。さらに、毒性試験が行なわれているのは、個々の成分がアレルギーを起こすなどの皮膚接触毒性が主であり、吸入毒性は問題とされていない。

 しかし問題は、危ない物質でもごく微量なら害にならない、パラケルススの「毒は用量次第」という500年以上前の毒性学の原則は、もはや通用しないということである。微量(低用量)でも、内分泌攪乱(環境ホルモン作用)が起こる物質があることがわかっているからである。また、もう一つの問題は、個々の成分がたとえ安全な使用量であっても、製品に含まれる数多くの化学物質の複合影響は評価されていない点である。

 我々は今、複合化学物質の海の中で暮らしており、1975年に有吉佐和子が環境汚染の警告書『複合汚染』で示した現実に、毒性学などの科学が追いついておらず、対処できていないのである。

 

« 香害―――新たな空気公害 ⑦ | トップページ | 香害―――新たな空気公害 ⑨ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事