« Science 口腔内超音波診断のご紹介~オーラルエコー~ ⑤ | トップページ | Social Science 大人のう蝕リスクとその対処を考える ② »

2021年4月21日 (水)

Social Science 大人のう蝕リスクとその対処を考える ①

桃井保子(鶴見大学名誉教授)さんの小論文。コピーペー:

はじめに

 2020年5月号には「ソーシャルサイエンス」に、井上美津子先生が『乳幼児のう蝕予防を考える』とタイトルして、子どもの発育時期に合わせたう蝕予防について詳細を解説された。これに続く本稿では、『大人のう蝕リスクとその対処を考える』と題し、生涯にわたり変化するう蝕リスクについて解説し、リスクへの対象を国際標準化されつつあることも含めて紹介していく。

1. 大人になって増えるう蝕

 平成28年歯科疾患実態調査が示すう歯を持つ者の割合の23年間の推移グラフ(略)。幼年期・少年期にかけては、う歯保有率は確かに激減している。しかし、青年期には減少傾向が鈍り、壮年期・中年期は高止まりである。高年期には、一転して増加に転じている。ここには、高齢者がより多くの歯を残すようになった喜ばしい事象と、多く残る歯の、高齢者に特有の根面う蝕が多発しているという難しい現実が重なっている。平成28年のデータだけでも、少年期まで低いう蝕保有率が、中学生、高校生、成人ではその何倍も高いことが分かる。

2, う蝕リスクとは

 長い間う蝕の治療は、どのように窩洞形成し、どの材料でいかにうまく修復するか、いわゆる削って詰めてゴールとしてきた。しかし、近年のカリオロジーは、削って詰めての歯冠修復はう蝕治療代理エンドポイントに過ぎず、真のエンドポイントは、個人のう蝕リスクを生涯にわたり低く抑え込むことにあると、われわれに警告し続けてきた。

 う蝕リスクとは、「これから将来に向けて新たなう蝕が発生する可能性やう蝕が進行する可能性がどれくらいあるかの確率」をぃう。一般には、高・中・低で判定。幼年期・少年期にう蝕保有者が少ないのに、なぜ青年期以降、その増加が止まらないのか。治療が終了した歯になぜう蝕治療が繰り返されるのか。その答えは、う蝕治療を感染歯質の除去と歯の形態と機能の回復で完了とし、生涯変化するう蝕リスクに思い至らなかったからと言えよう。

« Science 口腔内超音波診断のご紹介~オーラルエコー~ ⑤ | トップページ | Social Science 大人のう蝕リスクとその対処を考える ② »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事