Science 可視光線励起蛍光法の――歯科応用 ④
続き:
2) 歯周治療への応用
◆青色励起光によって歯垢から発現される励起蛍光の特性
近年、デンタルプラークに起因する歯周病と糖尿病や動脈硬化などの基礎疾患との関連や、デンタルプラークを構成している細菌に起因する誤嚥性肺炎についての報告が多く認める。プラーク付着部位を視覚的に正しく認識することは、本人あるいは介助者の口腔清掃技能の向上のためだけではなく、患者本人のモチベーション向上、さらには行動変容を引き出すカギとなる。
従来、歯に付着しているプラークの評価は染め出し液を用いて行うのが一般的であるが、高齢者施設や在宅介護の高齢受診者では染色後の口腔内清掃が決して容易ではない。波長 405nm の青色励起光はう蝕象牙質と同様にプラークから赤色励起蛍光を誘発させてその存在を認識できる。この蛍光システムによるプラーク検出は、プラーク染め出し液に比較して鋭敏でないものの、認識後に染め出し液を除去しなくても良いことは、歯科用ユニットがない環境での診療に多大なアドバンテージを与えると考えられる。
この青色励起光によって認識できるプラークの質的評価の一助として単離されている口腔内細菌を培養し、菌体自体が蛍光を発しているのかを検討した。この結果、菌体自体からの赤色蛍光が認められた細菌は、Prevotella intermedia 、Porphyromonas gingivalis の 2種であり、その他 5種の細菌 (Eikenalla corrodens、Fusobacterium nucleatum、Streptococcus mutans、Streptococcua gordonii、Streptococcus sobrins) では励起蛍光は見られなかった。
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