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2021年5月24日 (月)

実装される監視社会ツール ⑦

続き:

同意原則を公権力に遵守させよ

 マイナンバーカードは、その仕組みを理解した上で同意した人以外に、その取得を強制してはならない。

 ここで、「同意」ということについて考えてみよう。最近、空港に、パスポートの写真とカメラに向けた顔との照合で「希望者だけ」が早く入国できるゲートが設けられている。

 2018年の著者(武藤)の経験だが、武藤は顔認証を利用したくなかったので、「これ以外のルートはありますか」と職員に声をかけたところ、職員は満面の笑顔で「こちらをご利用ください」と顔認証ゲートを勧めてきた。入国管理局のマニュアルにはそれしかなかったのか、このやりとりを5回繰り返したあと、詳細に著者(武藤)がどういう人間であるかを自己紹介し、6回目でようやく人間による出国ゲートを案内された。武藤が5回目に根負けして顔認証ゲートを通過していた場合、これは同意したことになるだろうか。日本以外の現在の民主主義国家では、これは同意とは評価されない。

 医療機関を受診するたび、運転免許証を更新するたびに、繰り返し、マイナンバーカードの使用を勧奨され、従わなければ耐え難いほどの煩雑さを強いられるのではないか。プライバシーの侵害が気になる人は少数かもしれない。ただ、少数派の希望であっても人権が可能な限り保障されるべきだという考え方を、基本的人権の尊重原則とよぶ。

 EUでは、空港の顔パス認証サービスでは、同意していない旅客の顔認証データを取得しないようにしなければならず、コンサート会場で「顔パス」入場を行なう場合も同様とされる。同意しない者の顔認証データを勝手に収集したり、同意しない者に不利益を与えたりすることはプライバシー侵害であり、民主主義国家においては許されない。

 このような哲学は、以前は日本でも当然と思われていたと思うが、現在、崩壊寸前となっている。

 

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