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2021年5月21日 (金)

実装される監視社会ツール ④

続き:

「強制顔検索をどう避けるか」の続きです。

 顔認証システムが実用化される以前から、公安委員会は8200万人の顔画像のデジタルデータ――運転免許証のデータを保有している。顔画像は2007年から運転免許証の IC チップに保存されている。しかし、科学技術の進展は、顔画像データベースが、突如8200万人の正確な指紋データベースに変形した状況を招いたに等しい。

 まず必要なことは、従来、特に疑問もなく行政機関に提出されてきた顔写真情報について、その収集・利用が本当に必要で正当かをゼロベースでチェックし直すことである。「いったん適法に収集した個人情報は、行政機関がどう利用しようが自由だ」とはいえない。その意味で、真っ先に見直されるべき運転免許証の顔画像データを、マイナンバーカードと一体化しようというのは、明らかに国際的動向や民主主義の原則逆行している。

 健康保険証に対する顔認証チェックは全く意味ない。国は資格確認による過誤払い防止のためだというが、2015年の厚労省の調査では、その割合はわずか 0.27%にすぎない。しかも、その 1/3 は医療機関等での転記ミスだから、健康保険証の有効・無効しか判別し得ないオンライン認証によって防止することは不可能である。現在、写真貼与のない健康保険証が問題なく使用され、当面併存することとなっているのは、顔写真での本人確認の必要性が存在しないからである。

 なぜ不要な機器を税金で配布してまで顔認証データで毎回照合しなければならないのか。単純な費用対効果からいっても不合理だ。まして、プライバシー権利に対する必要性・相当性を慎重に検討したとは考えがたく、このような顔認証データの収集・利用には適法性について重大な疑問がある。

 

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