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2021年6月10日 (木)

グローバル・コモンズの責任ある管理 ⑥

続き:

6 日本の立ち位置

 グローバル・コモンズを守るために、国際社会は動きを速めている。気候変動に直結する脱炭素については 2020 年秋に中国、日本、韓国が今世紀半ばまでの脱炭素を表明し、バイデンの勝利でアメリカがパリ合意に復帰したことで、GHQベースで 63%の国がネットゼロ・クラブに加盟したことになる。その実現可能性については予断を許さないが、2021年11月の気候変動 COP 26 に向けて、試みは加速してきている。目標の上方修正や同盟の結成が相次いでいる。また、気候変動のみならず、もう一つの重要なグローバル・コモンズの構成要素である生物多様性の分野でも、新たな国際目標をめぐる議論が活発化している。

 日本については、残念ながら、その流れにまだ乗り切れていない。なぜネットゼロが必要なのかという科学的な理由付けへの理解が十分でないこと、ネットゼロ宣言への参加が遅れたこと、化石燃料に依存していることやそれを前提とした技術の海外輸出が続いていること、国境を越えて形成されつつあるテーマごとの連携・プラットフォームへの参加が少ないことが要因であろう。

 世界の流れが欧米主導で進みつつある中、日本が今後、国際競争力を削がれることなく、国際社会でその立ち位置を確かなものにするためには、二つのことに取り組まねばならない。

 第一に、脱炭素 2050 目標として、2050年までにプラネタリー・バウンダリーの中で持続可能な社会を達成するには、科学的知見に基づく経路分析が喫緊の課題である。諸外国の例を見ると、イギリスの気候変動委員会のように、法律で設置され、議会との間にアカウンタビリティを確保した組織もある。こんな例を参考にしながら、日本として、セクターごとのシステム転換を視野に入れたパスウェイの設定とそれを実現するための政策パッケージの策定が喫緊の課題である。このパスウェイがきちんと示せることが、2030年目標、2050年目標への秩序だった移行を可能にする・

 第二に、途上国を視野に入れる実効ある国際協調体制を日本が主導して確立することが不可欠だ。これまでの国と国の間の条約だけでなく、非国家アクターを巻き込んだ課題ごとのプラットフォームによる協同も重要な役割を果たす。国際協調体制の脆弱性は、先進国と途上国の亀裂に由来する面が大きい。気候変動問題は、「先進国が使い尽くした地球環境のツケをなぜ途上国が払わねばならないか」という永遠の課題からのがれられない。しかしここで考えるべきは、日本の重要なビジネス・パートナーである東南アジア諸国の多くは、いまだ石炭火力への依存、生物多様性を毀損した製品の輸出による経済発展戦略をたてており、日本はそのバリューチェーンに連なっているとうことだ。グローバル・コモンズを守る仕組みづくりへの協調関係を、これらの国々とともにどう構築するのか。その達成は、日本がないうる大きな貢献となり、そのリーダーシップは高く評価されるであろう。

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