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2021年6月16日 (水)

Clinical 高齢者のポリファーマシーと歯科薬物療法 ⑤

続き:

■ 腎機能の評価

 腎機能の評価にはいくつかの方法がある。血清クレアチニンを用いてコッククロフト・ゴールトンス(Cockcroft-Gault) 推算式からクレアチニンクリアランスを求める方法が汎用されており、高齢者に関しては Cockcroft-Gault 推算式が比較的実測値を反映しているので、それを用いて腎機能を評価してみる。

● 血清クレアチニンとは

 クレアチニンは、筋肉が分解されてできる老廃物の一つである。腎機能が低下すると腎臓から排出されなくなるので、クレアチニンが血液中に溜まり血清クレアチニンは上昇する。食事の影響を受けず常に一定量生産され、体内に吸収されることなく腎臓からのみ排泄されるので腎機能の指標に用いられる。ただし、筋肉量に比例するので女性は男性より低い値になる。

● クレアチニンクリアランスとは

 クレアチニンを含む血液が腎臓で 1分間に何 mL 濾過されるかを表す。基準値は 100~120 mL/min。40 歳を過ぎるとクレアチニンクリアランスは年に 1%の割合で低下する。クレアチニンクリアランスを測定することは難しいので、通常検査値の血清クレアチニンからクレアチニンクリアランスを算出する。

<例に>

患者 A

年齢:65歳  性別:男性  体重:60kg  血清クレアチニン:1.0mg/dL

(日本のほとんどの施設で採用されている測定法は酵素法で、酵素法の血清クレアチニンを使用する場合は 0.2 を加えて計算)

 

クレアチニンクリアランス=(140ー年齢)× 体重 / 72 × 血清クレアチニン (mg/dL)

    (mL/min)   女性は 0.85を乗ずる

患者 Aのデータより

クレアチニンクリアランス=(140ー65) × 60 / 72 × 1.2(mg/dL)= 52.1  数値を求める

 患者 Aの血清クレアチニンが分かっているとして、Aの血清クレアチニンと年齢、体重を Cockcroft-Gault 推算式に代入する。血清クレアチニン 1.0 mg/dLに0.2を加えて推算式に代入すると、クレアチニンクリアランスは 52.1 mL/min と推算される。腎機能正常者のクレアチニンクリアランスを 100mL/min とすると、A は腎機能がほぼ半分に低下していることになる。薬物「プレガバリン」の添付文書には、クレアチニンクリアランスに基づいた投与量が記載されており、30mL/min 以上 60 mL/min 未満での初期用量は 1回 25mg 1日3回、または 1回 1日 1回と記載されている。

 薬剤投与量の決定には患者の腎機能が腎機能が影響するため、高齢化が加速する現代において、腎機能を検査・把握することは今後ますます重要になってくる。腎機能低下した患者は高血圧や糖尿病、心不全を合併していることもあり、腎不全患者の治療に対してはあらかじめ主治医への病状照会を行い、必要に応じて高次医療機関へ照会するなどの連携をすべきだ。

腎機能に応じたプレガバリンの投与量

クレアチニンクリアランス(mL/min)     初期用量

     60 以上               75mg 1 日 1 回

     30 ~ 60 未満            25mg 1 日 3 回 または 75mg 1日1回

     15 以上30未満           25m g 1 日  1回 または 2回 または50mg 1 日 1回

     15 未満               25mg 1日 1回

 

 

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