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2021年6月 9日 (水)

グローバル・コモンズの責任ある管理 ⑤

続き:

5 グローバル・コモンズの責任ある管理の進捗

 グローバル・コモンズを守るためには舵を切る必要があり、残された期間は 10年しかない、と述べた。勿論、我々の世代も、グローバル・コモンズを守るために何もしてこなかったわけではない。

 早くは、1987年の「ブルントラント報告」で、「Our Common Future」のタイトルのもと、持続的開発の新たな定義を提唱した。1992年には、初の地球環境サミットが開催され、気候変動条約、生物多様性条約、砂漠化防止条約などリオ環境 3条約が締結されるきっかけとなった。

 しかしその後も、地球環境の悪化は留まるところを知らず、リオ環境 3条約に代表されるような国家間の枠組みだけでは十分でないことがはっきりしてきた。グローバル・コモンズを守るためには、経済システムの抜本的な変革が必要である。これは環境条約の矩をはるかに超える大事業であり、経済システムの主要メンバーが関与して初めて成しうる事業だ。

 実際に、中央政府以外で、グローバル・コモンズを守る意思と能力を備えたアクターが登場し連携して活動するようになった。彼ら非政府アクターは、解決すべき課題ごとに、業界を通じてあるいはバリューチェーンを通じて集まり、課題解決に動くようになった。その活発な行動が、2015年のパリ合意や SDGs 合意を後押ししたと言われている。その主だったグループは以下の通りである。

 都市は、中央政府を持たずに市民と一緒になって行動を起こした。例えば気候問題にリーダーシップを取ろうとする世界の大都市の集まりであるC40は、脱炭素戦略やコロナ後のグリーン・リカバリー戦略を世界に打ち出している。都市は実験の試験場所でもある。

 ビジネスの領域においても、これまでの短期的な視野で利益を最大化する経営の在り方は持続可能ではないと考えたビジネス関係者が、株主資本主義(shareholder capitalism )からステークホルダー資本主義への転換を打ち出している。この動きは、地球環境危機、社会の分断を見据え、その克服への道筋を、多様なステークホルダーを巻き込んで描かなければ、自分たちのビジネスの先行きが見通せないという冷徹な分析――死んだ惑星にビジネスはない――に則っており、かっての CSR (企業の社会的責任)とは一線を画すものである。

 ESG 投資の興隆やエシカル消費の盛り上がりなど、投資家も消費者もそれぞれの立場から、グローバル・コモンズを守る動きを加速させている。

 

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