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2021年7月13日 (火)

Science 幹細胞を用いた歯周組織再生治療の可能性について ⑦

続き:

6. 間葉系幹細胞液性因子による治療

 移植細胞が組織を作ることに直接関与しない形で組織再生を促すメカニズムとして、我々は幹細胞が産生・放出する液性因子が有する作用に着目した。間葉系幹細胞は、自身の分化能力を加えて、創傷治癒過程を修飾する多くの液性因子を放出していうことが明らかにされていつ。これらの作用には血管新生作用、抗線維化作用、抗炎症作用、免疫制御作用、抗アポトーシス作用、細胞遊走・増殖作用があり、いずれも創傷治癒過程を良好に進めることで組織修復を良好に進めることで組織修復を増強する可能性を持つと考えられる。

 我々が行った歯根膜幹細胞移植の実験においても、この幹細胞由来の液性因子の作用が考えられた。そのため、次に歯根膜幹細胞が産生・放出する液性因子を回収し、細胞ではなく、この液性因子のみを移植して歯周組織が再生されるかどうかについて検討した。動物モデルにはラットの下顎のモデルを使用、歯根膜幹細胞の培養液を濃縮し、3つの濃度の異なる培養液を歯周組織欠損へ移植した。4週間の治癒期間の後、マイクロ CT によって組織再生量を比較してみると、歯根膜幹細胞が産生する液性因子を移植することによって、歯周組織の再生が誘導され、その再生量は培養液を濃縮するほど多くなる結果が観察された。

 さらに、液性因子が歯根膜幹細胞由来でなければいけないのかどうかについて確認するために、皮膚の線維芽細胞から液性因子を回収して歯周組織欠損へ移植した。その結果、皮膚線維芽細胞の液性因子では歯周組織の再生は誘導されず、液性因子による歯周組織再生が、歯根膜幹細胞由来の液性因子に特異的な作用であると考えられた。

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