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2021年7月31日 (土)

祝賀資本主義のグロテスクな象徴 ②

続き:

◉ 「祝賀イベント」で儲ける電通

 東京五輪の招致から開催準備まで、実質的な作業のほとんどは電通が請け負っている。電通は東京五輪のマーケティングパートナーとして、五輪の広告・PR・コミュニケーション展開全般について独占的地位にあり、博報堂など他の広告代理店は一切介入できない。組織委員会は官公庁と東京都による集合体で、広告宣伝やイベント開催に関しては素人だ。だから、結局は電通が作った計画をなぞっていくしかない。

 電通はCMをはじめ、あらゆる媒体の広告枠を持っており、いわゆるメディアバイイングと広告制作、イベントの企画立案などをすべて一社で展開できる。このような能力は博報堂にもあるが、メディアバイイングと広告制作が同居しているスタイルは日本独自のもので、世界の広告業界から見ると非常に珍しい。だからこそ、電通一社による独占状態が可能になるのであり、海外でこのようなことは起こらない。

 2013年9月の東京五輪招致決定後、電通の石井直社長(当時)は全社員に対して「電通グループは東京五輪で1兆円の売上げをあげる」とメールし、社員を鼓舞したという。

 五輪の売上げの柱は放映権料とCM放映料、開催実施費などだが、電通にとって恐らく大きな売上げとなったのが、スポンサー企業の管理料収入だ。スポンサーの数が、五輪史上最多の 67社となっているからである。

 前回のリオ五輪までは、スポンサー企業は1業種1社という取り決めがあった。たとえるなら、トヨタがスポンサーなら日産は参加できないという決まりだが、東京大会はその縛りを無くし、同業種で何社でも参加できることとした。これはもちろん、売上げ拡大を狙った電通が、IOCを説得した結果である。

 そのため、ANAとJAL、三井住友とみずほ、東京メトロとJR東日本など、同じ業種で複数の企業が参加するようになった。中でも一番多いのは新聞社で、朝日・毎日・読売・日経・産経の全国紙と、北海道新聞社が名を連ねている。

 各社のスポンサー料金は伏せられているが、国内最上級ゴールドパートナー(15社)は1 社あたり150 億円、オフィシャルパートナー(32社)は60 億円程度、オフィシャルサポーター(20社)は 30~10 億円程度と推測されてる。

 これらスポンサー企業の開拓をしたのが電通であり、すべて組織委員会との三者契約になっている。組織委員会はスポンサー収入を 3400 億円などと発表しているが、その中に電通の手数料がいくら入っているかは明らかにしていない。本間(筆者)の計算では、本当のスポンサー収入は4300億円程度で、そこから電通の管理料 20%を引いた額が、公表されているスポンサー収入ではないかと考えている。つまり電通はスポンサー管理料だけで800億円以上を稼いだと予想できるのであり、東京五輪は電通にとって正に金城湯地と言えるのだ。

 この膨大なスポンサー契約料以外にも、TV 放映権料、様々な媒体でのCM放映料、グッズ関連のマーチャンダイジング料など、もともと五輪に存在していた多くの利権が電通の介在によって何倍にも膨らんでいった。巨大イベントにかかる予算が、さらに巨大化しているのである。

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