« コンピュータシステムがもたらした冤罪事件 ③ | トップページ | コンピュータシステムがもたらした冤罪事件 ⑤ »

2021年7月27日 (火)

コンピュータシステムがもたらした冤罪事件 ④

続き:

 苦難の末に無実の報告を聞くことができなかった元局長もいる。フィオナ・マクゴーワンさんは夫と共にエジンバラで郵便局長を引き受けていたが、3万ポンド(約450万円)が勘定不足であるとして虚偽決済の罪に問われ、自死した。チェスターで郵便局長だったマーチン・グリフィスさんも不正経理を疑われ、6万ポンド(約900万円)の穴埋めのための支払いを4年間にわたって余儀なくされ、心身を病んだ末に2013年にバスに飛び込んで自死した。

 バーミンガムの南に位置するレディッチで2001年から郵便局を経営していたカレン・ウィルソンさんの夫、ジュリアンさんも虚偽決済を疑われ、有罪を認めなければ刑務所に行くことになると言われて泣く泣く局を手放し、賠償金にあてた。彼は、「何年かかろうとも汚名を雪ぐ」ことに確信を持っていたという。そのために同じ冤罪被害を受けた各地の元局長を探し歩いていた。だが、2016年に癌のために死亡し、雪冤には間に合わなかった。カレンさんは夫の病気は誤判のトラウマによって引き起こされたと信じている。

 カレンさんは、今回の民事裁判のため、連日夫の遺影を抱えて傍聴を続けた。「夫は最初からシステムが間違っていたと知っていました。でも誰も耳を傾けようとはしませんでした。誰も聞こうとしなかった。今、わたしが(裁判を)やり抜いて、彼の有罪を覆さなければなりません。彼の名誉を回復する日までやり続けるつもりです」、とカレンさんは語る。

 2020年3月、刑事事件再審委員会は、亡くなったジュリアンさんを含めた 39人の元局長による再審申立てを認め、上訴裁判所に付託する決定をした。そして同年12月、再審が認められた元局長のうち最初の7人の有罪判決を破棄する決定がロンドンの裁判所で言い渡された。

« コンピュータシステムがもたらした冤罪事件 ③ | トップページ | コンピュータシステムがもたらした冤罪事件 ⑤ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事