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2021年7月10日 (土)

Science 幹細胞を用いた歯周組織再生治療の可能性について ④

続き:

       多能性幹細胞 (pluripotent)

         ●胚性幹細胞 (ES細胞)

         ●誘導多能性幹細胞 (iPS細胞) など

  幹細胞

       多分化幹細胞 (multipotent)

         ●造血幹細胞

         ●神経幹細胞

         ●間葉系幹細胞       など

1) 間葉系幹細胞

 上述した多分化幹細胞の一つである間葉系幹細胞は、1970年代に骨髄液からプラスチック培養皿に接着しながら、培養することが可能な線維芽細胞様の細胞集団として同定された。この細胞は、コロニーを形成しながら増殖する線維芽細胞と類似した形態を持つ細胞で、その後の研究において特殊な分化誘導刺激存在下で培養すると、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞様に変化することが明らかになった。

 そして実験動物へ移植した際に、異所性に骨・軟骨様組織を形成することが確認されると、間葉系組織における仮想の組織幹細胞として考えられるようになった。臨床的にも、骨減形成症の患者へ骨形成細胞の補充を目的にして、間葉系幹細胞が移植され、実際に治療効果も報告された。さらに、この間葉系幹細胞がケモカインを介して損傷部位への遊走能を持つことが報告されると、静脈注射による投与も考えられるようになった。

2) 生体幹細胞としての間葉系幹細胞

 間葉系幹細胞は、骨髄から採取される特殊な細胞として様々な特徴が研究されていたが、この骨髄由来間葉系幹細胞と類似する特徴を持つ細胞が骨髄以外の生体組織から単離培養できることが、90年代に入ってから相次いで報告された。脂肪、皮膚、臍帯、胎盤などの組織を、酵素処理を行った後に低密度で培養すると、コロニーを形成しながら増殖する細胞集団が培養可能である。これらの細胞の細胞表面に発現するタンパク発現プロファイルや、分化誘導刺激による分化能力を確認すると、骨髄由来の間葉系幹細胞と類似する結果を示すことが確かめられた。これらの細胞は由来は異なるが、骨髄由来間葉系幹細胞と類似した多分化能力を有することから、それぞれの細胞が由来する組織の仮想の組織幹細胞(生体幹細胞)と考えられるようになった。

 組織幹細胞は、生体組織の各所に存在、普段は活発に分裂などすることなく、休止状態にあるが、組織が損傷を受けたり、恒常性の維持のために組織の形成が必要な場合に活性化され、分裂・増殖・分化の後、新生組織の形成を担う幹細胞と考えられている。

 歯の周囲組織でも歯髄、歯肉、歯根膜、歯槽骨等から骨髄間葉系幹細胞に類似する細胞集団が単離培養できることが報告され、これは歯髄、歯周組織の組織幹細胞と考えられている。例えば、歯根膜から培養された間葉系幹細胞は歯根膜幹細胞と呼ぶが、骨髄間葉系幹細胞と非常に類似した性質で、脂肪やや軟骨、骨の細胞へ分化する能力を持っている。その一方で、実験動物に移植してみると、骨髄由来間葉系幹細胞が骨や骨髄様の組織を形成するのに対し、歯根膜幹細胞は、セメント質や歯根膜繊維に似た組織を形成する。これは、歯根膜幹細胞の組織幹細胞としての特徴を反映するものと考えられる。

 

 

 

      

 

 

 

    

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