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2021年7月 9日 (金)

Science 幹細胞を用いた歯周組織再生治療の可能性について ③

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2. 幹細胞を用いた疾患治療

 近年の細胞生物学及び組織工学技術の進歩から、体の外で培養した細胞を体内へ移植・投与する疾患治療の可能性が提唱されるようになった。特に再生医療分野においては、疾患によって機能の低下あるいは機能が喪失した組織を、その組織を形成する能力のある細胞を移植することによって再形成するという戦略は非常に合理的である。日本では、iPS 細胞の発見による山中伸弥教授のノーベル賞受賞をきっかけにして、国策としての成長戦略の一つに、iPS 細胞を中心にした再生医療の実用化の推進が掲げられた。そして、培養した細胞を用いて病気を治療する医療が次世代医療の一つとして、広く認知・期待されるようになった。

3. さまざまな幹細胞

 幹細胞と言ってもさまざまな種類がある。大きくは多能性 (pluripotent) 幹細胞と、多分化 (multipotent) 幹細胞に分けることが可能である。多能性幹細胞とは、生体のあらゆる種類の細胞に分化する能力を持ち合わせている細胞を指し、胚性幹細胞 (embryonic stem cells : ES 細胞)と誘導多能性幹細胞 (induced pluripotent stem cells : iPS 細胞 )が含まれる。一方、多分化幹細胞は、分化可能な方向性が多能性幹細胞と比較して狭められており、主に生体組織に常在して恒常性や、創傷治癒に役割を持つ幹細胞のことを指す。――血液細胞のみに分化する能力が限られている造血幹細胞などがそれに当たる。

 多能性幹細胞は、生体のあらゆる細胞に分化可能であるという非常に広い可能性を持っているが、その反面、細胞移植においてはその特性が癌化や制御不可能な分化などの危険性につながるため、現段階での細胞による再生医療の主役は多分化幹細胞となっている。その中でも、間葉系組織由来の多分化幹細胞(組織幹細胞)である間葉系幹細胞は、歯科を含め幅広い疾患に対して治療あるいは、組織再生を目標として投与されている。 

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