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2021年8月 6日 (金)

スマホ社会はなぜ生きにくいか ①

徳田雄洋(東京工業大学名誉教授)さんは述べている。「世界  7」より、コピーペー:

 私たちは好むと好まざるとにかかわらず、デジタル実験場の中で日々の暮らしを送っている。人工知能プログラムに勝手な分類をされ、予測・推薦をされ、公共のウェブサイトやアプリは不具合続きで、銀行ATMや証券取引所は何度目かのシステム障害を起こす。銀行口座や仮想通貨取引所からは知らぬ間にお金が流出し、個人情報・履歴は国内・国外からアクセスされ、利用規約に同意すると行動監視型個人別広告を見せられ、SNSや動画共有サイトで虚偽サイトや不適切動画にさらされる。

1 はじめに――現代スマホ社会の生きにくさ

 2020年1月から日本や世界の日常を突如一変させた新型コロナウィルス感染症は、それまで日本国内でかけ声と共に進められてきた「デジタル社会」の現実の姿を、はっきりと可視化させることになった。

 筆者(徳田)は2008年に国内外のデジタル社会について観察し、なぜ生きにくいのかについて技術的・歴史的・社会的原因を考える機会を得た。今回は12年経た2020年1月~2021年3月までの国内外のデジタル社会を再び観察し、私たちはどのような状況にあるのか考えてみる。

 出発点として、2021年に日常使われているスマートフォン(スマホ)を観察してみる。日本国内にはじめて登場した2008年頃のスマホと比べると、性能も機能もサービスも飛躍的に発達していて、ほとんど未来型の夢の装置。

 利用者の指紋や顔を登録すれば自動的に認証してロックを解除するし、拡張現実機能で周囲の空間を正確に把握して三次元家具画像を配置できる。交通系ICカードやマイナンバーカード(個人番号カード)を近づければ記録された情報を読み取るし、カメラを向ければ専用アプリの起動なしに、画面内に含まれるQRコードの内容を自動表示する。利用者の音声を使った指示や質問にもそれなりの答えを返すし、連携腕時計(スマートウォッチ)をつければ、酸素飽和度や心電図のグラフまで見せてくれる。

 危機としてのスマホの圧倒的な発展とは対照的に、2020年の人間世界のデジタル社会は、国内も国外も、さらに広範囲の適用分野で様々な困難に直面している。

 以下の事例の主な出典は、ヤフーニュース、ロイター、日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、ITメディア、CNET、ZDNet、MIT、MITテクノロジーレビュー、NHK、TBS、米国PBS、ABC、CNN、フォーブス、ニューヨーク・タイムズ、英国ガーディアンおよび各種組織の公式ウェブサイトである。

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