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2021年8月13日 (金)

スマホ社会はなぜ生きにくいか ⑧

続き:

7 おわりに

 デジタル社会の最大の特徴は、どの組織も個人も部分的な責任のみで、全体的な責任を誰も持っていないことである。

 今日のスマホ社会の困難の主たる生産者はデジタルサービスや制度の送り手である発注者・目標設定者・実装者・運営者である。伝え手であるメディア・教育機関・評価者も判断に必要な知識を十分に伝えていないし、受け手である組織や個人や家族は何が起こっているのかあまりよくわからないで日々利用している。

 デジタル化には第一部もあれば第二部もある。例えばアナログの静止カメラや動画カメラがデジタル方式に変わったのが第一部である。多くの人が旅行や運動会など特別な日に持参した。やがてスマホのカメラ機能となった。業務自動化にも第一部もあれば第二部もある。例えば役所の申請業務や予約業務の多くは、本人確認、フォーム入力、確認・修正、システム側の未記入・誤記入チェック、データベース作成・管理・連携である。デジタル化第一部はエンジニアにコードを書いてもらい作成する時期である。第二部は定型業務については発注者自身が自動生成する時期だ。毎回必要となるデータベースの項目だけ指定すればウェブサイトもスマホアプリも自動生成できるのである(地方自治体には既に職員が自動生成している例がある)。

 オンライン広告にも第一部や第二部や第三部がある。ウェブサイトを利用する全員が同じ広告をみていたのが第一部である。ちょうど駅のホームの看板広告のように誰もが同じ広告を眺めていた。やがて第二部となり、ウェブ上の利用者の行動をサイト横断的に監視し、利用者ごとに最適と思われる個人別広告を出すことが当たり前になった。しかし第三部やってきた。行動監視型の個人別広告を許可しない機器やソフトが増加しつつある。別技術への移行実験中である。

 電子投票にもデジタル化の第一部や第二部や第三部がある。第一部は投票所でのデジタル技術による手作業の自動化である。そして第二部では遠隔でも安全で正確な投票を実現することである。さらに第三部では投票者自身も自分の投票が正確に受け取られ、確かに加算されたことが確認出来る。

 暗号資産・デジタル通貨にも、第一部や第二部や第三部がある。第一部は銀行を介さずに信用できない人同士で決済手段を実現する時期である。第二部は自動契約実行や国外銀行間送金を高速化する時期である。そして第三部は中央銀行がデジタル通貨を発行する時期である。

 私たちは発注者や目標設定者や実装者や運営者にそれぞれの意見を示す必要がある。自動分類・予測・推薦やデジタル顔認証技術の利用拡大は現状でよいのか、個人情報管理や公文書長期管理のデジタルシステムは現状でよいのか。私たちはデジタル社会で何が起こっているのかを最低限理解するための知識の伝達を増やし、このままでよいのか、何らかの規制か、別技術への移行かを考える必要がある。

 

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