Report 2021 ゲノム解析 ③
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同機構では長期健康調査の詳細調査で歯科健診参加者から歯科医師が採取した25014人分の口腔検体(唾液、歯垢、舌苔)をバイオバンクに保存している。そのうち45~69歳で20本以上の歯を有する1289人を抽出して、その唾液と歯垢のマイクロバイオームを調べた。
これら試料の微生物ゲノム由来の遺伝子の DNA 配列を検索した結果、唾液で合計 232種類、歯垢で合計 259種類の微生物種が同定された。これを個々の歯科健診情報と比較解析したところ、口腔内の微生物の多様度が深さ 4mm 以上の歯周ポケットをもつ歯の割合や、最も深い歯周ポケットの深さなどと相関しており、歯周病のある人では唾液、歯垢ともに微生物の種類が増加していることが明らかになった。
口腔マイクロバイオームのバランスは口腔だけでなく全身の健康とも密接に関係していることから、今後の研究の進展が期待されている。
ゲノム解析は、高度な最先端の研究手法から一気に身近な臨床のツールになろうとしている。歯科領域でもゲノム解析を日常の臨床判断に利用する時代が間近に迫っている。
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