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2021年8月22日 (日)

カーボンプライシング ③

続き:

3 カーボンプライシングの実施方法

 カーボンプライシングはどのように実施するのだろうか。その方法には二種類ある。

 一つ目は、炭素税・環境税の課税だ。カーボンプライシングと言えば、二酸化炭素の排出量に合わせて課税する。2018年にノーベル賞受賞を受賞したノードハウス教授は、1970年代から地球温暖化対策として炭素税を提唱している。炭素税は、40年以上にわたって経済学者が主張してきた政策である。

 この炭素税は世界各国で用いられている。1990年にフィンランドで世界初の炭素税が導入されて以来、北欧では導入が相次いだ。その後、北米でも2008年に、カナダのブリティッシュコロンビア州で導入された。さらに、パリ協定の前後、改めて炭素税の導入が行なわれている。2014年にフランスやメキシコで導入されたのに続き、2017年にはカナダ・アルバータ州、チリ、コロンビアなどで導入された。2019年にはシンガポール、そして南アフリカでも導入され、世界で広がりを見せている。日本でも2012年に地球温暖化対策税が導入されているが、後で議論するように低価格で、脱炭素には十分でない。

 二つ目の方法である排出量取引制度では、政府が対象地域での総排出量を決定、その量に応じた排出枠を発行する。そして、政府はその排出枠を事業者に配分する。事業者は自らの排出量に相当する排出枠を入手しなければならない。しかし、排出削減に成功すれば余った排出枠を売却することができる。この排出枠の取引費用を通じて二酸化炭素に値段をつけることで、炭素税・環境税と同じような効果を持つと考えられている。

 二酸化炭素の排出量取引も、欧州連合の欧州域内排出量取引制度(EUETS:European Union Emission Trading Scheme)を筆頭に、世界各国・地域において様々な形で導入されてきた。ヨーロッパではスイスやノルウェーでも排出量取引が導入された。米国では、北東部の州による地域温室効果ガスイニシアティブ(RGGI:Regional Greenhouse Gas Initiative)に加えて、カリフォルニア州でも排出量取引が導入されている。さらにカナダでもケベック州で導入された。アジアを見ても、2015年に韓国で経済全体の排出量取引が導入された。中国では7都市・地域の試行実施を経て、2021年に電力部門を対象とした全国制度が導入された。今後、他の部門でも全国制度が開始されていく予定だ。さらには、国際的な排出量取引の国際リンクが行なわれている。EUETSとスイスのリンク、カリフォルニアとカナダ・ケベック州のリンクである。国境を越えた排出枠の取引が行なわれているのである。中国は自国のパイロット市場を開始してから、日本と韓国の排出量取引とのリンクに関心を持つなど、国際的な展開も進んでいる。

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