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2021年8月 9日 (月)

スマホ社会はなぜ生きにくいか ④

続き:

3. オンライン申請

4月 緊急事態宣言発令

4月 米国新型コロナウィルス感染症対策で国民に現金給付開始

4月 マスク申込サイトに470万件応募

5月 特別定額給付金オンライン申請で混乱や中止続く

5月 雇用調整助成金申請サイトが開始1~2時間で停止

6月 修正版の雇調金申請サイトが再開後3時間で停止

6月 米国アマゾンが自社顔認証ソフトの法執行機関での1年間使用禁止措置

6月 接触確認アプリCOCOA配布開始

 5月、国民全員への10万円特別定額給付金の申請がはじまった。紙申請では、一部自治体の申請用紙で、支給を希望しないというチェック欄に希望者が印をつけ辞退者扱いとなるなどの事例も見られたが、おおむね順調に作業は進んだ。一方、オンライン申請の混乱は深刻だった。

 当初、オンライン申請は紙より迅速であると広く推奨されていたが、実際はオンライン申請の場合、記入内容の手作業による確認、手動入力が膨大に発生することが判明した。紙版では自治体が世帯別に出力した申請用紙を送付できるのに対し、オンライン申請では、入力内容の自動チェックがないため誤記入・未記入が多発し、膨大な手作業が発生、オンライン申請を中止する自治体が続出した。さらにきちんと申請できたかが心配で複数回オンライン申請する人や、1回申請者に複数回振り込む自治体や、世帯別給付で家族が受け取れない場合などが発生した。

■役所の行列――個人番号カード

 特別定額給付金の申請がはじまると、役所は個人番号案件の人の行列で密な状態となった。ログイン情報を忘れた人、ログインに3回失敗しロックがかかった人、電子証明書の有効期限5年が過ぎて無効となった人、引越の際にカード内の住所変更をしなかった人、これから新規に個人番号カードを作りたいという人々であった。

■申請サイト不具合

 雇用調整助成金の申請サイトは5月20日にオンライン申請を開始し、開始後1、2時間で停止となった。理由は同時刻に登録した複数の申請者に同じ内部IDが付与、他申請者の情報が見えるようになるなどしたためである。内部IDを新規発行する際に、発行済み重複チェックを行なっていなかったようだ。このシステムは、もとめを行なう元請け1社、開発、保守、テストを行なう再委託先3社で、契約から稼働まで20日間未満で作成されたという。システムが修正され、6月5日に再開されたが、新しい不具合が発生し、約3時間で停止。今度はシステムが用意した画面上の「戻る」ボタンでなく、ブラウザの「戻る」ボタンで利用者が前のページに戻ると、別の申請者情報が見えてしまったという。ブラウザの戻りボタン処理の仕事はウェブサイト構築上、最も基本的な仕事の一つである(このシステムは8月に運用が再開された)。

■米国議会の国民給付方法の議論

 2020年4月の米国での国民への給付金支給方法は、以前の確定申告で銀行口座を届けた人は直接銀行振込で、それ以外の人には小切手送付で行なわれた。米国では700万世帯が銀行口座を持っておらず、小切手送付の場合に現金化にかなりの手数料がかかる。準備段階の米国議会で短時間で一定額の米国ドルを配布する高速法として中央銀行での国民一人一人の口座開設案が議論された。米国中央銀行では、中央銀行が口座を持ち、銀行間の送金は中央銀行の口座間の残高移動で行なう。そこで国民一人一人の口座を中央銀行に高速で作り、国民がその給付金を使うという案であった。

■公共ITシステム

 2020年6月から運用開始された接触確認アプリCOCOAアンドロイド版の重大な不具合が2021年2月に公表された。2020年9月以来通知機能が停止中で、陽性者登録が行なわれても接触者に通知が送られなかった。元請け一社、再委託先三社、再々委託先二社が9月アップデート公開前にテストを行なわなかったこと。発注者は9月時点でテストせず、後にテスト環境が整ってもテストをしなかったこと、さらに2020年11月時点でソースコード共有サイトで「アンドロイド版はトランスミッションリスクレベルの値が○なのでこれは検知されない」という誤りの指摘があり、検討リストに追加されたが、どの委託先会社も自社以外の会社が対応すると思っていたという。

 

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