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2021年9月24日 (金)

逆転の発想で新しい歯科医療を創造する

 第24回日本歯科医学会学術大会より「日本歯科医師会雑誌」より コピーペー:

   ■講師 渡部 茂(明海大学保健医療学部教授 <口腔保健学科>)さんは述べている

 国民の生活は「質の高さ」を求めて常に向上しつつある。それにつれて生活習慣病である口腔疾患も大きく影響を受けることになる。抜歯・補綴型治療から予防・管理型への転換が迫られて久しい。

 口腔は生命を宿した身体の発育と健康を担うことも立証されてきた。新しい歯科医療の時代は既に始まっている。

 2019年、イグ・ノーベル賞審査委員会は唾液にスポットライトをあてた。口腔には歯と舌と粘膜、そして唾液があり、その唾液に光を灯せば未知のものが拓かれてくる可能性がある。

 Laugh and think then Shine, 唾液はこの賞の真髄にぴったりだったのかもしれない。

 唾液は 1日に約 600mL分泌されており(成人)、放っておくとドブのようになる口腔を毎日洗っている。その仕組みはサイフォンの原理に従っている(Dawes 1985)。唾液は 1回の生理的嚥下で約 0.3mL が嚥下され、嚥下直後(約0.8mL)から嚥下直前(1.1mL)と、嚥下の度に唾液量が変化することで口腔の希釈が行われている。

 この希釈率は口腔環境に大きく影響している。また唾液は厚さ平均0.1mmのフィルムとなって口腔内を移動しているが、部位によってその到達量と移動スピードは異なる(0.8~8.0 mm/mm)。そのために環境差が生じており、常在細菌の生息域とステファンカーブには大きな関連が指摘されている。

 「フッ素は上の前歯に効く」、「脱灰再石灰化のメカニズム」、「哺乳瓶う蝕」、「食塊嚥下閾への関与」…これら唾液のもつ働きを臨床でコントロールすることが必要と思われる。

 唾液はまた口腔を超えて血液や尿のように全国区でも大きく貢献している。肥満防止。細菌・ウィルスの探知。ドラッグデリバリー。ストレス指標…。

 唾液を中心に据えた歯科医療の展開は、ヒトの健康を守る番人としての責任に答える大きな武器になると考えられる。明かりを灯してくれた領域をさらに輝かせるための研究と専門性の確立を、我々歯科医師が中心となって行わなければならない。

 本講演では、唾液に関する最近の知見から新しい歯科医療の展開を創造してみた。

 歯科医師で初のノーベル賞はどなたの手に輝くのか?

 

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