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2021年9月14日 (火)

Science 口腔粘膜上皮性異形成病変に対する蛍光診断の有用性 ⑤

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 これに対し図8 (略) においては、右側舌縁部から口底にかけて、境界比較的明瞭で不整形を呈する白色病変が認められるが、硬結等の所見はなく、臨床所見からは白板症と考えられた。本病変に対して同様にヨード生体染色を行うと、白色病変にほぼ一致して不染域が認められ異型上皮の存在が確認された。

 しかしながら5-ALAを用いた蛍光診断を行ったところ、白色病変部には赤色蛍光領域の存在は認められず、また同部のデジタル画像に対する色度分析の結果でも赤色蛍光部位は確認されなかった。病理組織学的には、錯角化の亢進と先端に丸みを帯びた上皮脚非規則な伸長、さらに棘細胞層では細胞間橋の不明瞭化とそれに伴う細胞配列の軽度不正がみられた。

 また上皮層の基底側1/2程度の範囲には、核腫大、核小体の明瞭化、核濃縮を示す基底細胞様細胞の多層化がみられ、低異型度異形成(中等度上皮性異形成)と診断された(図9 略)。

 上の2症例は、いずれも臨床所見からは白板症が疑われ、ヨード生体染色法で異型上皮の存在が確認された症例である。しかしながら 5-ALA を用いた蛍光診断において、一方は赤色蛍光が認められ病理組織学的に高異型度異形成(高度上皮性異形成)と診断され、もう一方は赤色蛍光が認められず病理組織学的には低異型度異形成(中等度上皮性異形成)であった。このように、5-ALA を用いた蛍光診断は、従来報告してきたような上皮内癌や初期浸潤癌だけでなく、上皮性異形成病変の検出、さらにはその異型度の推定にも応用できる可能性が明らかとなった。

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