ESG投資が変える社会 ①
水口 剛(高崎経済大学学長)さんの論文である「世界 9」よりコピーペー:
0.02%の衝撃
2021年5月、アメリカのエクソンモービル社の株主総会で異変が起きた。会社が提案した取締役候補のうち3人が破れ、わずか0.02%の株式しか所有していない株主が提案した3人が選ばれたのである。提案したのはエンジンナンバーワン、同社に気候変動対策を強く求める投資家だった。
アメリカでは環境問題への取組みを求める株主提案自体はめずらしくない。衝撃だったのは、実際に過半数の投資家が賛成に回り、可決されたことである。ESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)を考慮する投資がもはや特殊なものでなくなったことを示す象徴的な出来事だった。
日本でも気候ネットワークが2020年にみずほフィナンシャルグループに、2021年には他のNGOと共同で住友商事と三菱UFJフィナンシャルグループに株主提案をした。いずれも可決には至らなかったが、高い支持を得た。その背後にあるのもESG投資の潮流である。
その起点となったのは、当時国連事務総長だったコフィ・アナンが呼びかけ、ヨーロッパの大手公的年金などが協力して2006年に公表した責任投資原則(PRI)である。彼らは、投資の分析と判断にESGの要素を組み込むこと、株主として行動することなどを責任ある投資の原則として示した。
そして年金や運用機関など世界中の投資家に署名を求めた。2021年7月時点で署名機関は4000を超え、その資産総額は100兆ドルに達する。この大きな潮流には資本主義のあり方そのものを変える可能性がある。
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