ESG投資が変える社会 ②
続き:
ESG 投資とは何か
日本でも2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) がPRIに署名したことで、EGS投資が広がった。GPIFは国民年金と厚生年金の積立金を一括して運用し、2021年3月時点で186兆円の資産を擁する世界最大の機関投資家だからである。
GPIFは屋内外の株式や債券に資産を分散して投資するが、株式に関してESGを考慮した指数への投資を採用している。例、二酸化炭素排出量などの情報開示を進め、炭素効率の高い企業の投資比率を高める「カーボンエフィシェント指数」や、女性の働きやすさを重視した「女性活動指数」などである。当然、GPIFの指数に採用されたいと思う企業にとっては、企業行動の変革を促す圧力となる。このように企業の環境・社会課題への取組みを評価・レーティングして投資判断に反映することは、EGS投資の代表的な方法の一つだ。
いったん投資すれば、今度は株主として投資先企業にESG要因への配慮を働きかけることができる。投資先企業との建設的な対話はエンゲージメントと呼ばれ、その先に株主総会での議案提出(株主提案)や議決権の行使がある。
GPIFの具体的な運用はアセットマネジメント企業などの運用機関に委託されているので、GPIFが投資先に直接働きかけることはないが、運用機関に対しては積極的にエンゲージメントすることを求めている。また、国内の運用機関の中には、気候変動に最も影響の大きい企業を対象に投資家が共同でエンゲージメントを行なう Climate Action100+ や、畜産動物のESG課題に焦点を当てた FAIRR (Farm Animal Investment Risk & Return )などの国際的なイニシアティブに参加するものもある。
海外では NGO などが環境や人権に関わる具体的な事例を提起し、ESG投資がエンゲージメントで連携することもある。日本でもNGOと運用機関の対話が始まっている。このように、ESG投資は多様なステークホルダーと企業との対話を媒介する役割も担い得る。
« ESG投資が変える社会 ① | トップページ | ESG投資が変える社会 ③ »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ポストコロナ医療体制充実宣言 ①(2024.01.04)
- Report 2023 感染症根絶 ④(2023.11.30)
- Report 2023 感染症根絶 ③(2023.11.28)
- Report 2023 感染症根絶 ②(2023.11.24)
- Report 2023 感染症根絶 ①(2023.11.15)