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2021年10月27日 (水)

グローバル・タックス、GBI、世界政府 ④

続き:

グローバル・タックス

 それではどのようなグローバルな政策が必要なのか。これについては、特に二つの政策に着目したい。まずグローバル・タックスである(以下、上村 2019、2021)。グローバル・タックスとは、大きく捉えれば、地球規模で税を制度化すること。これには三本の柱がある。第一の柱は、各国が連携して共通の国際課税ルールを作り、課税のための情報を税務当局が共有すること。第二の柱は、金融取引税、地球炭素税など実際に国境を越えた革新的な税制を実施すること。そして第三の柱は、課税・徴収を行ない、税収を地球公共財のために攻勢に使用するための透明で、民主的で、説明責任を果たすことのできるガヴァナンスを創造する。

 グローバル・タックスが実現すれば、第一の柱により長期的にタックス・ヘイブンはなくなり第二の柱である税の政策効果により、投機的金融取引や武器取引、エネルギーの大量消費など、グローバルな負の活動は抑制、理論上、年間300兆円近い税収が生み出されて地球規模課題の解決のために充当されえる。さらに、第三の柱によりグローバル・ガヴァナンスの透明化や民主化、説明責任の向上が進むことが期待される。最後の点のロジックは以下の通り。

 加盟国の拠出金に依存し、各国の思惑に制約されて真の意味で地球公共益を追求できない既存の国際機関に対し、グローバル・タックスを財源とする国際機関は拠出金を財源としないので、純粋に地球公共益を追求できる。さらにそれは自主財源を持つことを意味するので、政治的にも、財政的にも国家からの自立性が高まる。

 また、桁違いに多数で多様な納税者に説明責任を果たすためには、高い透明性・民主性が求められる。とりわけ、税収の使途決定にあたっては、政府代表だけでなく、様々なステークホルダーが加わって物事を民主的に決定していくマルチ・ステークホルダー・ガヴァナンスが必須となる。これにより、政府代表だけで資金の分配などを決定している従来の国際機関よりも、多様な視点やチェック機能がビルトインされ、税収の分配を含めて、より公正な意思決定が行なわれることとなるであろう。

 今後様々なグローバル・タックスが導入され、それに伴って次々と自主財源とマルチ・ステークホルダーによる意思決定を備えた国際機関が創設されることになれば、現在の強国・強者主導のグローバル・ガヴァナンスは、全体として大きく変革を迫られることになる。さらにグローバル・タックスを財源とする国際機関が多数創設された場合、長期的にこれらの機関がどこかの時点で一つに収斂して「グローバル・タックス機関」とも呼べる機関が設立される潜在性がある。そして、その機関を民主的に統制するために「グローバル議会」ないし「世界議会」とも呼べる組織が創設される可能性さえ展望できる。それが実現すれば、マルチ・ステークホルダーで担保していた各機関レベルでの透明性、民主性、説明責任が、正に、グローバルなレベルで担保されると考えられる。

 このように、グローバル・タックスは資金創出、グローバルな負の活動の抑制のみならず、現在のグローバル・ガヴァナンスを変革する潜在性を持っていることから、その意義は限りなく大きいといえるのである。

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