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2021年10月30日 (土)

グローバル・タックス、GBI、世界政府 ⑦

続き:

世界政府     <2>

 次に、トマス・ポッゲのいう「集権的世界国家は、外部を持たないので、圧政が起こった時に、そこから逃れられない」という評判だ。井上達夫も専制時に脱出口(安全装置)がないことを問題視し、これは人間的自由の「最終手段」とも言うべき「離脱可能性」を失わせるということを意味すると論じ、世界政府論を批判する。

 実現可能性については、一方で現在の大国が世界政府を承認し、加盟するかどうかの問題、他方で国家主権を部分的に超えた統合を唯一、成し遂げているEUも、近年、イギリスが離脱したのみならず、一国内の統治でも異なる民族や地域間の統合に苦悩している事例は沢山あるのだ。それが現実だ。

 これらの批判を乗り越えるために必要な鍵は適切な制度設計、ならびにグローバル・タックスとGBIの実施にあると考えられる。まず世界政府論が深く考慮しなければならなうのは、如何にしてローカル、ナショナル、リージョナルなアイデンティティ、権利、自治、自律を尊重、保障しつつ、全体の統合を図っていくかという困難な課題である。そうすると、連邦制の世界政府像と欧州連合も実践している補完性の原則の重要性がが浮上する。ここでいう連邦制とは、各国の主権の一部を世界連邦政府に委譲しつつも、基本的に各国が主権を維持することを認める政治制度だ。補完性の原則とは、世界連保政府を構成する一番下部に位置する、最も人々に近いローカルレベルの自治や権限を重視し、そこでは対処できない問題については、より上位にあるナショナルレベルで対処できない場合はグローバルレベルで扱うという原則だ。これは、ローカルでの実践を重視する脱成長コミュニズムのプロジェクトを支える基盤ともなる。これらにより、現在の国際政治秩序をラディカルに変えることなく世界政府樹立に向けての出発点とすることができるので、実現性を高めることとなろう。さらに、世界連邦政府に留まることを良しとしない国家があるのであれば、離脱を認めることによって、外部がないことの弊害も回避できる。

 太鼓の加盟と世界政府実現の具現化については、グローバル・タックスとGBIの実施が要なのだ。すでにグローバル・タックスの実施が長期的には、グローバル・タックス機関とグローバル議会(世界議会)の創設まで結びつくロジックを説明した。世界議会はグローバル・タックス機関の透明性、民主的運営、アカウンタビリティに責任を持つのみならず、一国内で議会がそうしているように、グローバル・タックスによって得られた税収の使途を議論し、決定し、実施国や実施機関、様々なプログラムやプロジェクトに資金を供給することになるだろう。

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