世に放たれたゲノム編集野菜 ②
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■ゲノム編集と遺伝子組み換えの違い
「ゲノム」は、生物の遺伝子の総称である。遺伝子は四種類の塩基と呼ばれる化合物アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)が鎖状に連結した長い分子である。細胞内でタンパク質の設計図として機能して、三個の塩基が一個のアミノ酸に対応する。
一個の遺伝子は1000~数千個の塩基からできている。ゲノム編集は、特定の遺伝子の塩基配列を切断破棄し、その遺伝子の機能を失わせる(ノックアウト)場合と、切断した場所に新たな塩基を挿入して細胞が本来は持たない新たなタンパク質を作らせる(ノックイン)場合がある。
従来の遺伝子組み換え作物、例えば日本が合計で年間2000万トン以上輸入している除草剤耐性大豆や害虫抵抗性トウモロコシは細菌由来の遺伝子を大豆やトウモロコシの遺伝子の中に強引に挿入して作られるが、挿入場所はあらかじめ特定できない。
ゲノム中にランダムに挿入された多数の変異体から、目的とする変異株を選別して作るため、開発には、膨大な時間とコストがかかる。
これに対し、ゲノム編集ではあらかじめ標的遺伝子の塩基配列を分析し、特定の配列(通常約20塩基)だけを効率よく切り取ることができる。
この点で開発効率が従来の遺伝子組換えとは大きく異なる。
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