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2021年10月13日 (水)

公正な医療アクセス阻むグローバル製薬企業 ④

続き:

◉ 急速に広がる「提案」への賛同

 今回の南アフリカとインドの提案に対し、多くの途上国・新興国が続々と支持を表明した。ケニア、モザンビーク、ボリビアの他、43ヵ国のアフリカグループが共同提案国として加わり、ベトナム、インドネシア、バングラデシュなど支持国も併せると約100ヵ国が賛成だ。WTO加盟国164ヵ国のうち2/3が賛成していることになる。

 一方、反対したのは米国、日本、EU、英国、オーストラリア、スイス、カナダ、ノルウェー、ブラジルなど先進国を中心とした国々だ。自国でワクチン開発をした米英はもちろん、EU、日本、オーストラリアなどの先進国は、既存の知的財産権ルールを変更する意志はない。どの国も製薬企業の意向が色濃く反映されてのことである。

 しかし、賛成の輪は急速に広がっていった。WHOのテドロス事務局長は、「インドと南アフリカの提案を歓迎」との意見を即座にツイッターで表明し、国際連合エイズ合同計画(UNAIDS)やユニットエイド(UNITAID、途上国におけるエイズ・マラリア・結核の治療普及を支援する国際機関)も支持した。

 世界中の元国家元首・ノーベル賞受賞者など170名も提案に賛成した他、国境なき医師団(MSF)や「ピープルズ・ワクチン連合」をはじめとする国際医療・保健団体、貿易協定に関わるNGO、労働組合など400団体以上がWTO加盟国に強く働きかけた。日本では、アジア太平洋資料センター(PARC)や国境なき医師団日本、アフリカ日本協議会などが連携して、「新型コロナに対する公正な医療アクセスをすべてのひとに!連絡会」を立ち上げ、日本政府に働きかけてきた。

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