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2021年10月11日 (月)

公正な医療アクセス阻むグローバル製薬企業 ②

続き:

◉ 失敗に終わった「平等なワクチン供給」

 もちろん、国際社会はこうした事態を放置してきたわけではない。自国だけで感染を封じ込めても不十分で、世界各国が協力して迅速に対応しなければならないと、どの国の政府も十分理解している。

 2020/04/24、世界保健機関(WHO)のもとで、ワクチンや医薬品、診断薬や機材等の開発と供給を一体で手掛ける「ACTアクセラレーター」(COVID-19関連製品アクセス促進枠組み)が設置された。この枠組みの中で、Gaviワクチンアライアンス、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)及びWHOが主導し、ワクチンを共同購入する「COVAX」ファシリティも設立された。

 COVAXが各国から拠出された資金をメーカーに提供しワクチンを調達、各国に平等に配分していく仕組みだ。迅速に設立された点や、「持てる者も持たざる者も、平等に」という理念が途上国に希望を与え、順調に走り出すように見えた。ところが、COVAXは早々に難題に直面する。COVAXは自国で資金調達できる国向けと、援助によってワクチンを供給される国向けの二本柱の構造だが、先進国はCOVAXを通じた援助よりも、メーカーとの個別契約に邁進した。いわゆる「ワクチン・ナショナリズム」の動きだ。

 米国は2020年8月までに人口の140%に相当する8億回分以上のワクチンに関して、六社と契約を結んだ。EUも二社との契約で5億回分を確保。英国は五社との契約で人口の225%にあたる2億7000万回分を入手していた。このように、豊かな国々が複数のワクチン供給を約束される一方、COVAXには深刻な資金不足が生じてしまったのだ。

 日本はCOVAXに設立当初から積極的にコミットして、2021年6月にはワクチン・サミットも主催。8億ドルの追加資金とワクチン3000万回分の供与を約束した。しかし、それでも圧倒的に資金は足りていない。インドの企業セーラム・インスティテュートは、COVAX資金によって途上国向けのワクチン(英アストラゼネカと米ノババックス製品)をライセンス契約によって製造し始めたが、インド国内の感染爆発のため十分な量が生産できていない。

 一方、2021年6月、G7は途上国へ10億回分のワクチン供給を合意した。これ自体は一定の貢献だが、世界78億人のうち7割を占める途上国の人々が二回接種するために必要な約110億回分のワクチン量からすればわずかなものだ。南アフリカの「ヘルス・ジャスティス・イニシアティブ」の創設者であるファティマ・ハッサン氏は、「G7が何を約束しようが、ワクチンの独占を終わらせると決意しない限り、G7は人びとの殺生与奪の決定権を製薬会社に与え続けるだけである」と厳しく批判し、途上国側の失望を語った。

 

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