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2021年10月26日 (火)

グローバル・タックス、GBI、世界政府 ③

続き:

危機の原因

危機の根底に、資本主義があることは間違いない。資本主義は価値増殖と資本蓄積のために、自然と人癌を収奪しながら市場を絶えず開拓していく際限ない運動なので、持続不可能な経済成長を求めていく。だから、斎藤幸平をして「私たちの手で資本主義を止めなければ、人類の歴史が終わる」と言わしめるのである。

 資本主義のグローバルな拡大の上に、地球規模課題を深刻化させ、人類を生存危機に追いやるグローバル政治経済構造が作られている。まず、マネーゲーム経済の膨張とタックス・ヘイブンだ。大金を株式、債券、通貨、デリバティブなどに投資(投機)し、利ざやで儲けるマネーゲーム経済の規模は実体経済の10倍に達し、富裕層や多国籍企業を不条理に儲けさせ、格差拡大となっている。さらにその儲けには税金がほとんどかからす、金融講座情報を秘匿するするタックス・ヘイブン(租税回避地)に帳簿上移され、国庫に入ることなく再びマネーゲームに投入される。

 次に、主権国家体制である。現在の国際社会は、各国家が主権を持ち、内政不干渉を原則として国際秩序を形作っていることは説明するまでもない。そのせいで、たとえ主要国が核兵器禁止条約に加盟しなくても、パリ協定を守らなくても、タックス・ヘイブンが維持されても、主権国家体制というシステムが存在する限り、これらの国々に温暖化ガスの排出削減や核軍縮を義務づけることも、タックス・ヘイブンの解消を求めることも困難なのである。

 このようなグローバル政治経済構造のせいで、地球規模課題が悪化しており、更に、それを逆転させるために必要な資金が必要なところに投下されないのだ。例えば、途上国でSDGsを達成するためには年間およそ400兆円が必要である、それに対して、世界の政府開発援助の総額は20兆円にも満たない。他方、タックス・ヘイブンに秘匿されている資金は、実に5000兆円と見積もられている。これだけの資金をSDGsの達成に投入できれば、少なくとも資金面ではSDGsの達成は可能である。

 グローバルに拡大して危機を深める資本主義は、主として多国籍企業と金融資本によって押し進められている。これらを抑制することがなければ、ローカルレベルの脱成長コミュニズムの試みがグローバルな転換に達することはないだろう。超克すべきは資本主義だけではない。主権国家体制も併せて超克し、グローバルに拡大した資本主義の圧力を弱め、国境を越えた地球規模課題を解決するための国境を越えた政策や制度を打ち立てなければならない。斎藤幸平の議論は、ローカルを基点にグローバルへ向かうアプローチであったが、危機的な状況に効果的かつ短期的に対処するためには、下からだけでなく、上からのアプローチ=グローバルな政策と制度の構築が不可欠なのである。

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