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2021年10月28日 (木)

グローバル・タックス、GBI、世界政府 ⑤

続き:

グローバル・ベーシック・インカム

 次に、岡野内(2021)らが提唱しているグローバル・ベーシック・インカム(GBI)も傾聴に値する。それは、全人類を対象とした個人向け無条件の月極めの生涯保障の現金移転と定義。GBIが初めて提唱されたのは1970年代で、ピーター・コイストラの国連所得」がそれに当たる。その後、1980年代にマイロン・フランクマンが「惑星規模のベーシック・インカム」を、2010年には岡野内が「地球人手当」を提唱。2020年になって、国連開発計画(UNDP)が、コロナ・パンデミック対策として、低所得者のみを対象とする「期限付きベーシック・インカム」を国連機関として初めて提案し、世界銀行もベーシック・インカムを多面的に検討し、ガイドブックを刊行している。さらに、21.c初頭になって、ナミビア、ブラジル、インド、ケニア、フィンランドでも導入実験が行なわれ、コロナ後は多くの国々で期限付きであるが現金供与が行なわれた。

 GBIの最大の問題は財源である。仮に78億人が先進国・途上国の平均でひと月1万円、年間12万円を受け取るとすると、総額で936兆円だ。現在のGDPがおよそ1京円なので、その約10%に相当。岡野内は、その財源を、多国籍企業株式の51%を人類が共同所有することで調達すること、それを人類の個々人が譲渡不可の議決権付きの1株を所有する対等平等な1株主として管理する仕組みを構想している。

 岡野内はこの仕組みでこれだけの額を毎年調達できるのかということについては何も示しておらず、このような構想の実現可能性や効果についても今後の研究が待たれるところである。ただし明らかなことは、このシステムの創設は多国籍企業の大きな抵抗にあうことだ。その困難を突破するには、後で述べる世界政府の助けが必要となろう。いや、むしろ世界政府による設立しか道はないであろう。

 このようにGBIの研究はまだまだ途上であるが、普遍的な生活保障のシステム化は、高給だが社会に貢献せず、やりがいもない「ブルシット・ジョブ」の減衰をもたらし、脱成長コミュニズムのプロジェクトに従事する人も増えるだろう。途上国では、現金供与が貧困削減の有効な手段になっていることが分かっていることから、GBIはそれに大きく貢献することになるだろう。

 

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