温故知新オーラルフレイルに対応する歯科東洋医学
■講師 山口 孝二郎(鹿児島県 <ハヤの会 田中矯正歯科 歯科慢性疾患診療室>、昭和大学医学部客員教授 <生理学講座生体制御学部門>)さんの文を載せる:コピーペー:
現在、日本は人生100年時代を迎えて、茶寿(108歳)を目指せる時代へと変化してきた。また2018年の人口動態統計月報年計(概数)では死因の第3位に「老衰」が入ってきた。しかし平均寿命と健康寿命の差は男性9.1年、女性12.7年あり、その根底にフレイルが存在する。また、2040年問題を含めて、フレイルをいかにコントロールしていくかは重要で喫緊の課題と考えられている。
2018年に出された柏スタディでは、身体的フレイル、サルコペニアの発生に関してオーラルフレイルが関連していることが判明してきた。
柏スタディではオーラルフレイル該当者は身体的フレイルの発生率が2.41倍、サルコペニアは2.13倍、介護度3以上の要介護認定2.35倍、全死亡率は2.09倍と報告されている。
現在、オーラルフレイル対策として、咬合力低下、咀嚼機能低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、嚥下機能低下について筋力トレーニング、口腔乾燥については唾液腺マッサージ、口腔不潔に対しては舌・口腔の清掃が勧められている。
他方、東洋医学では「虚証(腎虚を含む)」の概念がフレイルに共通するといわれている。また、フレイルの前段階としてのオーラルフレイルは東洋医学の「未病」として捉えられる。
医科ではフレイルサイクルのコントロール、治療に早くから人参養栄湯、補中益気湯などの補剤を中心に漢方療法が取り入れられているが、歯科ではまだその普及は低いままである。
この講演では、貝原益軒の『養生訓』、香月牛山の『老人必要養草』などの古典を参考にして、オーラルフレイルを東洋医学的に考察し、舌診の解説ならびに、『薬価基準による歯科関係薬剤点数表』に掲載されている漢方11方剤の中からオーラルフレイルに効果があると考えられる漢方を用いた症例報告などを行い、、心身の機能低下までつながるフレイルの未病としてオーラルフレイルを東洋医学的にコントロールして健康寿命を延ばす方策を考えたいと思う。
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