Report 2021 世界アルツハイマー月間 ③
続き:
この新薬は日本やヨーロッパもすでに承認申請中であり、先行する米国で臨床成績が確実になれば、日本でも広く使用されるようになるかもしれない。ただし、米国ではこの新薬の年間薬剤コストは約5万6000ドル(約610万円)だという。認知症患者が急増する中で、医療費への影響も懸念される。
歯の健康管理と認知症の関係を示唆する興味深い知見が先頃報告されている。「歯の数とアルツハイマー型認知症との関連」について、日本歯科総合研究機構の恒石美登里氏らはNDB※第3者提供データを用いて、2017年4月に歯周炎または歯の欠損を理由に歯科受診した60歳以上の患者、それぞれ401万人、66万人を対象として、アルツハイマー型認知症病名の有無との関係を検討した。
その結果、歯数が少ない患者、欠損歯数が多い患者ほどアルツハイマー型認知症のリスクが高かった。アルツハイマー型認知症と診断されていた受診者率は、現在歯数1~9本の患者は同20~28本の患者の1,34倍、喪失歯数が28本の患者は同1~3本の患者の1.81倍のオッズ比だった。
認知症の根本治療を目指した治療薬の開発へ向けて、世界中の研究機関や製薬企業がしのぎを削っている。予防対策にも様々な労力が注がれている。世界の叡智を結集しても、認知症はなお手強い。
NDB※
レセプト情報・特定検診等情報データベース
(Nstional Database of Health Insuarance Claims and Specific Health Checkups of Japan)
「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて収取された診療情報データを格納したデータベース。
「レセプト(診療報酬明細書)情報」と「特定健診等情報」が含まれ、すべての実データに匿名化処理が施されている。
« Report 2021 世界アルツハイマー月間 ② | トップページ | 公正な医療アクセス阻むグローバル製薬企業 ① »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ポストコロナ医療体制充実宣言 ①(2024.01.04)
- Report 2023 感染症根絶 ④(2023.11.30)
- Report 2023 感染症根絶 ③(2023.11.28)
- Report 2023 感染症根絶 ②(2023.11.24)
- Report 2023 感染症根絶 ①(2023.11.15)