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2021年10月23日 (土)

世に放たれたゲノム編集野菜 ⑥

続き:

■ゲノム編集食品の安全確認

 厚労省・農水省はゲノム編集食品について、外来遺伝子を含む「ノックイン」の場合は従来の遺伝子組換え作物と同様の安全審査と表示が必要だが、外来遺伝子を含まない「ノックアウト」の場合は安全審査が不要だと結論を下した。開発メーカーは、単に厚労省・農水省に任意で届け出るだけでよく、それもメーカーが不要と判断すれば必要ない。

 消費者庁もまた、ゲノム編集食品について遺伝子組換えの場合とは違い「表示不要」と決定、しかし、これではゲノム編集食品の安全性はまったく保証されない。安全審査がなければオフターゲットによる標的外遺伝子の破壊や他の遺伝子の発現に及ぼす影響、抗生物質耐性遺伝子の存在も確認できない。

 メーカー側が、オフターゲットやマーカー遺伝子は存在しない、と言えばそれが通ってしまうことになり、食の安全性の観点から見て危険極まりない。このように、遺伝子組換えと違って、表示が不要である点も、消費者の選ぶ権利を奪うことになる。

 ゲノム編集食品に対する政府のこうした姿勢は米国追従の結果である。米国もゲノム編集食品について安全審査も表示も不要と決定している。一方、EUでは2018年に欧州司法裁判所がゲノム編集食品も従来の遺伝子組換え食品同様に安全審査と表示が必要との判決を下し、日米とは大きく異なる判断をしている。どちらが食の安全性に重要かは言うまでもない。

 ゲノム編集食品の現況は、約50年前の1970年に、原発の電力が若狭湾から大阪万博会場に初めて送られた時によく似ている。当時、すでに重大な結果をもたらす事故や放射性廃棄物の問題が指摘されていたにもかかわらず、政府や電力会社は、事故は起きないし廃棄物はいずれ何とかなる、と強弁した。それがすべて噓だったことはすでに証明されている。未知の部分を置き去りのまま経済優先で進める技術開発は未来に大きな禍根を残すことになろう。

 

 

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