巨大IT企業の暴走を止める! ④
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■ 「勝者だけが勝ち続けるゲームを終わらせよう」
米国市民社会の中でも、特にコロナ禍で巨大IT企業への批判は高まり続けている。
市民団体パブリック・シチズンは、2020年9月、「プライム・ガウジング――アマゾンはパンデミックで儲けるため、如何に価格を吊り上げたか」と題するレポートを公表した。ロックダウン中、Amazonが医療品や生活必需品の価格を操作し、不当に価格を上昇させていたことを告発。これに対し多くの消費者から不満の声があがった。
また同団体は2021年3月、コロナ禍でGAFAが国会議員や官僚に対するロビイ活動費を驚くほど増額しているという事実を明らかにした。
さらに、労働者の運動もGAFAやUberなどプラットフォーム・ビジネスを告発している。2020年11月、米国のAmazon労働者らが中心となって、「Make Amazon Pay」(Amazon は公正な経費を支払え!)という国際キャンペーンが立ち上げられた。コロナ禍の中、Amazonは1兆ドル規模の企業となり、CEOのジェス・ベゾス氏は個人資産が2000億ドルを突破した史上初の人物となった。
一方、倉庫で働く従業員はエッセンシャル・ワーカーとして命を危険にさらしているにもかかわらず、一時的にわずかな賃金増額を受けるのみだった。労働組合への敵対的な態度も複数確認されており、その不公正さに労働者の不満が爆発したのだ。キャンペーンは、労働環境の改善や全従業員の雇用の安定のほか、経営の透明性の向上、反競争的な行為の中止を同社に求めている。
コロナ禍で一人勝ちを続ける巨大IT企業に対して、米国を中心に多くの国で批判と改善の要求が続出している。政府高官や国会議員のみならず、内部告発者や研究者、NGO、労働組合などが協力しながら、巨大IT企業の市場支配や税金逃れの問題に深くメスを入れようとしているのだ。
日本では、プライバシー侵害問題には関心が高いものの、デジタル課税や市場独占の問題はまだ広く議論されていない。しかし、巨大IT企業の規制は私たちの身近な課題でもある。
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