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2021年11月20日 (土)

Clinical 次亜塩素酸のトリセツ ④

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2) 殺菌力は有効塩素濃度とpHで決まる……のは劣化していない場合のみ

 次亜塩素酸はpHにより異なる動態を示し、それに伴い殺菌能(殺菌のスピード)も変化する。次亜塩素酸(pKa=7.53)は、pH7.5でHOCl : ClO-=1 : 1となる。pH5付近でほぼ HOCl になるが、pH4以下になると有毒な塩素ガスを発生。HOClは有機物を酸化(=殺菌作用)して自身を分解し、窒素化合物(アンモニアなど)が存在するとそれらと結合して結合塩素(クロラミン類)となり、殺菌力が著しく低下。

 殺菌能は、HOCl(100とする)>>ClO(約1.3)>モノクロラミン等の結合塩素(約0.3)となる。例えば、pH8.5の次亜塩素酸溶液の90%はClO-であり、その殺菌力は同濃度のpH6のもの(95%以上がHOCl )の約1/9になる。つまり、殺菌力は溶液中の HOCl と ClO-の存在比率できまる。生成後は、劣化とともに次亜塩素酸は分解、強酸の塩素や塩素酸などに変化しpHも殺菌力も低下してしまう。

 そのため、溶液のpHそのものだけで殺菌力は判断できぬ。劣化に伴う溶液の実際の動態や効力の把握には、成分分析や殺菌能力テストが必要となる。

 いずれにしても、生成後は劣化する前に速やかに使用すべきである。

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