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2021年11月 2日 (火)

人間と科学 第328回 植物と薬と人間(6)―①

未来に向かって ~人と植物~

斉藤和季(理化学研究所環境資源科学研究センター長)さんは載せている コピーペー:

 人類は、過去12000年の間、地質学的に「完新世」と呼ばれる安定した地球環境の中でその繫栄を謳歌してきた。特に、世界人口は18c.の産業革命を経て、第二次世界大戦後の1950年以降には急激に増加し、現時点で78億人と推定され、早ければ2050年には100億人に達するだろうと考えられている。このように地球の歴史上かってなかった人口増加と、それに伴う大きな人間活動による全地球的な環境に与える影響を考えると、現代は「人新世」という新たな地質時代に入ったと言われている。

 人新世は、石油や石炭など化石資源の燃料による温室効果ガスの蓄積と、それに起因する温暖化、また温暖化や耕作地の拡大による生物多様性の減少、化学肥料使用や核実験による化学物質の流出や堆積など、すべて人間活動に由来する特徴を有する。人口が急激に増加する前には、地球には人間活動による環境影響を吸収して元に戻す復元力の余裕があった。

 しかし、人新世の時代では、人間活動が大きくなりすぎて、ある限界点を超えてしまった後には元には戻れない、不可逆的で急激な環境変化の危険性がある。これは「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」と呼ぶ。そこでは、9項目の環境変化についての評価が試みられている。その中で、すでに安全な領域を超えて後戻りできない高リスク項目として、生物多様性の喪失、窒素およびリンの生物環境への化学的漏出などが挙げられている。また、リスクが増大している危険項目として、気候変動や土地利用の変化などが指摘。

 このようなプラネタリー・バウンダリーの考え方に基づいて、2015年に国際連合が「持続的な開発のための2030年アジェンダ(Sustainable Development Goals : SDGs、持続可能な開発目標)」を設定した。これは、人類が共存できる社会を作るため、本来の地球と人類のために持続可能な開発を行う上での17個の具体的な目標を定めたもの。この2030年アジェンダ(SDGs)の前には、民間シンクタンクの「ローマクラブ」による1972年のレポート「成長の限界」や、2000年に設定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」もあったが、SDGsでは環境的側面が大きく強調された。

 現在では、日本をはじめ世界各国や地域など広く国際社会が賛同し、政府機関に留まらず官民団体や民間会社も、SDGsに貢献することを組織の社会的責任として掲げている。むしろ最近ではSDGsが一般化しすぎて、実態が伴っていないのに取り組んでいるように見せかけている「SDGsウォシュ」や、SDGsは辛い現実から目を背けさせる社会的なアヘンであるとの皮肉な議論もある。

 

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