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2021年12月13日 (月)

気候崩壊と脱成長コミュニズム ①

斎藤幸平(大阪市立大学大学院経済学研究科准教授)さんは「世界 10」に小論文を載せる コピーペー:

夢か現か幻か

 コロナ禍でのオリンピックによう感染爆発。ワクチン頼みだった菅政権は、変異を続けるウイルスと鼬ごっこを前に窮地に追い込まれている。だが、真の不幸な知らせは、コロナが最後の危機でないということだ。

 すでに次の危機はやってきている。気候危機だ。気候変動の影響は日本を襲う季節外れの豪雨だけでない。北米を襲った熱波、ドイツや中国の洪水。ギリシャやトルコ、シベリアの山火事。アフリカの島国マダガスカルでは干ばつによる飢餓が起きている。多くの人々のみならず、何十億もの生物が命を落としている。人間のせいで。

 8月9日に公開された IPCC の第6次評価報告書がそのことを裏付けた。「人類が気候変動を引き起こしていることに疑う余地はない」と断定したのだ。つまり、過去200年に及ぶ人類の経済活動が排出した温室効果ガスが地球の平均気温をすでに1℃以上上昇させているのである。

 気候危機は今後さらに深刻化していく。報告書によれば、あと10年ほどで、気温上昇がこの間の目標とされてきた1.5℃を超えてしまう可能性が高い。これは悪いニュースだ。破局的事態を避けることは依然として可能だが、残された時間はごくわずかである。

 その限りで、ワクチンで集団免疫を獲得し、コロナ禍という「悪夢」から目覚め、「経済に回せ」というのは誤っている。むしろ、コロナ禍まではすべてはそれなりにうまくいっていた、という「夢」から目覚める時だ。ロックダウンが終わっても、慢性的緊急事態こそが21c.の現実だということを直視しなければ始まらない。

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