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2021年12月30日 (木)

人間と科学 第330回 医療統計学リテラシー(2) ② オッズ比とリスク比

続き:

 次にオッズ比の特徴について述べる。

特徴 1 オッズ比は必ずリスク比に比べて 1 よりも離れた値をとる

「臨床研究の例」より、喫煙と肺がんの関連を調べた研究のオッズ比

 オッズとは イベントありの人数を、イベントなしの人数で割ったもの 

オッズ比とは 比較したい群で計算したオッズの比

      イベント発症率= 15 %

   喫煙者 100人   肺がんあり 20人   肺がんなし 80人    

   非喫煙者 100人   肺がんあり 10人   肺がんなし 90人

 発症リスク(割合)    20/100    10/100   リスク比=20/10=2.0

  発症オッズ       20/80              10/90     オッズ比=2/8÷1/9=2.25

      リスク比は 2.0、オッズ比は 2.25であった。リスク比に比べオッズ比は 1 よりも離れる値をとる。

 リスク比とは喫煙によって肺がんの発症リスクが2倍になると言えるが、2,25のオッズ比の値をもとに、リスクが2.25倍になると言ってしまうと、喫煙の効果を誇張しすぎてしまうので注意が必要である。オッズとリスクは同じではないのだ。

特徴 2 イベント頻度が高いほどオッズ比はリスク比と離れた値をとる

 今度は肺がんの発症頻度を上げた場合のリスク比とオッズ比を計算してみよう。例えば喫煙者では 100人中 90人、非喫煙者では 45人が肺がんが肺がんになったとする。イベント発生率は 67.5%で高い。この場合、リスク比は 2であることに対して、オッズ比はなんと 11 となる。オッズ比をもとにリスクが 11 倍になったと言ってしまうと、かなり誤解を招くことになる。そもそも非喫煙者では 100人中 45人、45%に肺がんが発症しており、45%の 11倍は 495%になるので辻褄が合わない。

 

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