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2021年12月14日 (火)

気候崩壊と脱成長コミュニズム ②

続き:

宇宙というフロンティア

 深刻なのは環境問題だけでない。経済格差も広がり続けている。フロンティアを切り開き続けようとするのが資本主義の性であり、安い労働力や資源を徹底して利用し、経済成長を遂げてきた。だが、人類の経済活動が地球全体を覆った「人新世」とはそのようなフロンティアが消尽した時代であり、その結果、長期停滞が先進国を襲っている。経済のパイが大きくならなければ、資本主義の下では格差が必然的に広がっていく。

 人類未踏の地はもはや宇宙にしか残されていない。今年の 7月、デジタル資本主義の象徴的存在である Amazon の創業者ジェフ・ベゾスが宇宙へ行った。地球が燃え、庶民がコロナ禍で日々の食事もままならない生活をしている一方で、宇宙旅行を楽しむ超富裕層。連邦所得税をほとんど払わず、コロナ禍で資産を倍増させたベゾスが、自分の宇宙旅行に何十億もの大金を使うことは正当化されるのか。数多の批判を前にして、ベゾスはこう述べる。「私たちはあらゆる重工業、あらゆる汚染産業を宇宙に移す必要がある。そして、この地球を今の美しい宝石の状態に保たねばならない」。ベゾスは、人類と地球の未来のために宇宙開発をやっているというわけだ!

 とはいえ、10 分の宇宙旅行、無重力状態はたったの 3分だった。ベゾスの思い描くような宇宙開発が実現する前に、地球はとっくに人の住めない環境になっているだろう。そして、いよいよ地球に住めなくなった時に、自分たちだけは火星に移住する……。これが気候危機の時代の行き過ぎた超格差社会のリアルである。

 ベゾスだけでない。気候変動対策に多額の投資をしているビル・ゲイツは「二酸化炭素を排出しない」小型原子炉の必要性を説いている。また、「環境に優しい」水素飛行機を開発することで、これからもプライベートジェットに乗り続けることを正当化する。彼らに共通する思考はこうだ。自分たちはリスクを取って出資をして、技術開発を行っている。それがうまくいけば、自分たちの「今まで通りの生活」を維持する権利がある。だが、もし今まで通りの生活こそが危機の核心にあるとしたら、すべては茶番ではないか。

 ここでの困難は、日々の仕事や子育てに追われ、雇用の不安定化と競争の激化のせいで、ストレスフルな毎日を送っている私たちもまた、ベゾスやゲイツの提供する商品を消費し、豊かな生活を享受しているという事実である。お金さえあれば、スマホ一つでどのような財産やサービスも購入できるデジタル社会。それが他者や環境にどれほどの負担をかけているかを気にかけることは稀だろう。

 グローバルな規模で何が起きているかを、私たちは想像することさえもできなくなっているのだ。ましてや、アトム化した社会で、連帯はかってないほど困難になっている。

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