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2021年12月 5日 (日)

人間と科学 第329回 医療統計学リテラシー(1) ②

続き:

 

 「カラスは黒い」という仮説を証明してみよう。「カラスは黒い」という仮説は、たとえ1万羽のカラスを観察しても、1万1羽目のカラスが白ければ「カラスは黒い」という仮説は証明できない。しかし「カラスは黒い」という仮説は1羽の白いカラスを観察すれば否定できる。つまり、仮説を正しいと証明するためにはエビデンスはいくらあっても足りないが、仮説を否定するには1つのエビデンスで十分である。

 仮説を否定することを、専門用語で「仮設を棄却する」という。仮設とは棄却するものであって、正しいと証明するものではないのである(この仮説を帰無仮説と言う)。エビデンスとは、仮説を棄却することによって作られる。「薬に効果がある」ことを示したい場合は、「薬に効果がない」という帰無仮説を棄却することによって達成できる。

   P<0.05➡ 差がないという帰無仮説を棄却できる➡ 差があると言える

   P> or =0.05➡ 差がないという帰無仮説を棄却できない ➡差があるとは言えない

 

 P値に影響を及ぼす要因は大きく2つある。1つは観察された差、2つは症例数である。

 新薬と既存薬で、平均血圧の差が10の場合と3の場合では、差が大きいほうが、偶然差が観察される確率は小さくなる。ここにP値の落とし穴がある。

   ● P<0.0001 症例数➡ 1万、――によって統計的有意差があり(A=10000 B=10000)、

     ● P<0.15  症例数➡ 30,——では統計的有意差が観察できなかった。(B=30 C-30) 有意差は観察なしで、臨床的な差は観察できたが、

    統計的な有意差には至らなかったと解釈する。

 P値のみに頼らず、臨床的な差は確認できたのか、有意差が出なかった原因は何かなど、結果を広く理解することが重要。

 

 

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