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2022年1月11日 (火)

Clinical 抗血栓薬を内服している患者の抜歯 ⑦

続き:

4. 局所止血について

 前述のように、ガイドラインでは抗血栓薬服用患者において抜歯を行う際には、薬剤継続下に抜歯を行うことが提案されている。この提案は局所止血処置を確実に行うことが前提となっている。有効な止血方法に関して比較検討した研究はなく、どの止血方法を行えば良いのか、どの止血方法が最善かに関する知見は得られていない。しかしながら、抗血栓薬服用下における抜歯の検討を行った多くの研究では、止血方法は圧迫止血が用いられており、圧迫止血が確実にできれば、止血困難や後出血の危険は少なく、また後出血も圧迫止血にて対処可能であるとの結果が多かった。

 抜歯後の出血は毛細血管からの出血が多い。止血の要点は、①止血点を圧迫して止血する(直接圧迫止血)と、②抜歯窩内に形成される凝血塊の形成促進と保護だ。抗血栓薬服用患者では、圧迫止血に要する時間が延長することと、血液凝固塊ができにくい点が問題だ。そのため、圧迫止血を確実に、かつやや長い時間行うことが必要。又、凝血塊の形成を促進かた阻害しないために、抜歯窩内の血餅の保護が必要。そのため、一般的には抜歯窩を可能な限り閉鎖して、抜歯や一次閉鎖のために外科的侵襲をうけた歯周組織範囲を確実に圧迫することが必要。

 又、歯槽骨の吸収や瘻孔形成が見られる場合や、広範囲に歯肉骨膜剝離が行われた場合などでは、そこを遁路とした出血の可能性がある。そのような場合は、死腔(デッドスペース)や出血の逃げ道を無くすため、圧迫範囲を拡大することや、止血用シーネを使用することが必要となる。

 直接圧迫は止血の要点で、一般的にガーゼを嚙むことにより圧迫されるが、確実に圧迫力与えるためには嚙むための対合歯の状態が重要となる。又、圧迫止血を持続的に行うために止血用のシーネが使用されることがある。シーネにより確実な力で、必要な範囲を圧迫するためにはシーネの強度も重要であって、特に遊離端の形となる場合にはシーネのたわみや強度に注意が必要である。

 前記のように、抗血栓薬服用下に抜歯を行う際には確実な局所止血処置が肝要となる。その意味で、外科侵襲が大きく、そして広範囲に及ぶ難抜歯や、智歯抜歯(特に埋伏智歯)では、圧迫止血の範囲、確実な圧迫力の確保、出血の遁路、周囲の蜂窩織の存在などに問題が多く、注意深い確実な止血処置が必要となるため、これらの問題点に対する対応策の実施と、予期せぬ出血に対応できる医療機関で処置が必要であろう。

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