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2022年1月 8日 (土)

Clinical 抗血栓薬を内服している患者の抜歯 ④

続き:

3. ガイドラインの要旨

 『抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2020年度版』の総論では抗血栓療法についt概説するとともに、抜歯処置や抜歯における止血について説明されている。

 各論では、抗血栓療法別に GRADE アプローチによって導かれた「推奨」と、各種情報から総合的に判断した「ガイドライン統括委員会の見解」、および、その判断に至る説明文が記載されている。

 また、行われたシステマティックレビュー(SR)の内容が「 GRADE アプローチによる推奨とその根拠」という形で示されている。

 次に 2020 年度版の概要を記載する。

1) 対象患者、用語の定義など

(1) 対象患者

 本ガイドラインの対象患者は、本邦で内服薬による抗血栓療法を受けており、抜歯必要であると診断された患者(主に日本人)に設定されている。

(2) 抜歯について

 抜歯と言っても、大きく普通抜歯と難抜歯に分かれる。本ガイドラインでは、断りがなければ基本的に普通抜歯が想定されている。

(3) 出血について

 術中で、手術後、重篤な合併症に出会う。

 

※ 抜歯―――

普通抜歯:粘膜骨膜弁を剝離翻転することなく、歯槽骨の削除も必要なく、抜歯できた処置。欧米の論文で simple extraction, non-surgical extraction にあたる。

難抜歯:粘膜骨膜弁を剝離、翻転し歯槽骨を削除し、抜歯した処置。欧米の論文で surgical tooth extraction, complex procedures, third molar surgery にあたる。

●埋伏智歯の抜歯も基本的には難抜歯に含まれるが、解剖学的要因等から術後に起こる合併症が重篤な場合があり、別項目として議論した。

●歯根農法の摘出、歯根端切除術、歯槽骨形成術、歯科インプラントの埋入などの歯槽骨に限局した手術における出血リスクは、難抜歯や埋伏歯の抜歯と同様と考えられる。場合よっては止血処置が困難で有ったり、また出血リスクの高い大血管大口蓋動脈、下歯槽動脈、舌動脈、後上歯槽動脈、頬動脈など)があり、これらの血管の走行には十分に配慮した手術操作が求められる。

 

※ 出血―――

術中出血:手術中の出血

術後出血:止血処置(30分の圧迫止血を含む局所止血)が終了した後に再度出血したもの。遅発性出血は、抜歯のおおむね数日後(a few days)に出血したもの。

重篤な出血性合併症:ヘモグロビンが 2g/dl 以上低下する出血、入院処置が必要な出血、もしくは輸血を要する出血。抜歯部位などからの局所出血やその他の全身性出血(頭蓋内出血、腹腔、消化管出血など)を含む。

●抜歯により歯肉および抜歯窩から出血が見られる。また、不適切な処置操作や偶発的に周囲組織を損傷する場合もあり、血管の破綻や歯槽骨、顎骨の骨折等により出血をきたすことがある。抜歯の原因となった炎症、不良肉芽組織、病変の存在により出血や止血障害のリスクは高くなる。抜歯本数や歯種に関連した出血リスクに関してはエビデンスが少ない。

●止血処置:多くは毛細血管からの出血であり、圧迫止血で止血可能だ。その他の局所止血方法として、血管収縮薬が添加されている局所浸潤麻酔薬の局注、ボスミンの併用、電気メスによる凝固・レーザー焼灼、局所止血材(ゼラチンスポンジまたは酸化セルロースなど)の填入、創縁(辺縁歯肉)縫合、止血シーネ、歯肉ペックなどがある。

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