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2022年2月13日 (日)

Science 新型コロナウイルスパンデミックに対する有効な手指衛生消毒剤のエビデンス ~エタノール、次亜塩素酸水、オゾン水~ ①

王 宝禮大阪歯科大学歯学部教授さんの研究文を載せる コピーペー:

はじめに

 感染症の流行はそのレベルから「エンデミック(風土病)」、「エピデミック(伝染病)」、「パンデミック(世界的大流行)」に分類される。近代以前のパンデミックには、ペスト、天然痘があり、20c.以降のパンデミックにはインフルエンザウイルスが原因であるスペイン風邪、アジア風邪、香港風邪、2009年型インフルエンザ、そしてコロナウイルスである新型コロナ感染症(COVID-19:coronavirus disease 2019)によるものがある。

 現在、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2) は、ワクチンや治療薬が劇的な速度で普及しているにもかかわらず、いまだ完全には抑えられていない。さらなる感染拡大を防ぐためには、社会全体で実施可能な個々の感染予防策を日常生活に導入することが必要である。

 SARS-CoV-2感染は、エアゾルの吸入に加え、手指に付着したウイルスが口・花・目の粘膜から侵入することでも成立すると考えられている。そのため、呼吸器感染防止対策に加えて、より厳格な感染対策の徹底のためには手指衛生も重要となる。

 大きい飛沫:数メートル先まで飛ぶ ➡ 飛沫感染

 小さい飛沫:しばらく空気中に漂う ➡ エアロゾル感染

 落ちた飛沫:物の表面でしばらく生存 ➡ 接触感染

手指衛生(手洗い)には、清潔度によって「日常的手指衛生」、「衛生的手指衛生」、「手術時手指衛生」の3つに分類する。「日常的手指衛生」は食事の前や排便排尿後など、社会生活などで行われるもので、水道水と石鹼または水道水のみで行なわれる。「衛生的手指衛生」は病院において診療の前後に行なわれており、「アルコール手指消毒(エタノール)」もしくは「石鹼と水道水による手洗い」が行われている。「手術時手指衛生」は手術前に行われる最も水準の高い手洗いを意味し、アルコール手指消毒液を組み合わせた手洗いが行われている。現在、COVID-19を背景に、歯科医療において「衛生的手指衛生」レベルが必要である。

 一方、経産省、消費者庁、厚労省から令和2年6月26日に発表された「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等については、「消毒・除菌等の有効性の根拠明確でないものが多い。さらに、有効性試験を行っている場合でも、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)、日本産業規格 (JIS:Japanese Industrial Standards)、団体規格等で規定されている評価法を用いていない「ものがあるほか、結果の表示にあたっても、試験実施時期、用いた手法、試験機関、結果等が明示されていない場合がある」とされており、この見解は他の消毒剤にも該当することである。

 さて、2020年3月WHOがCOVID-19のパンデミックを宣言した。国内では消毒用アルコール類の供給に対して需要が追い付かなかった。そこで我々は、第2、第3の候補にあがる SARS-CoV-2 不活化効果を有する消毒剤のエビデンスを確認する研究プロジェクトを立ち上げた。

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