Science 新型コロナウイルスパンデミックに対する有効な手指衛生消毒剤のエビデンス ~エタノール、次亜塩素酸水、オゾン水~ ②
続き:
1.エタノール、次亜塩素酸水、オゾン水はSARS-CoV-2を不活化する
1)アルコール
ウイルスの制御に使用されるアルコール類としてはエタノール、2-プロパノール、1-プロパノールが知れれているが、中でもエタノールについてはウイルス不活性化効果が広く報告され、実用化されてきた。現在、世界的にはエタノールによるウイルスの消毒が主流となっている。70~80%のエタノールの(EtOH) を含む消毒用アルコールは、ウイルスを十分に不活化することができ、過去の研究では、30%以上の濃度の EtOHは、ウイルス液とEtOHとの混合比率 2:8、反応時間 30 秒の条件下においてSARS-CoV-2 を強力に不活化することが報告されている。
2) 次亜塩素酸水
次亜塩素酸水とは次亜塩素酸を含む水溶液で、塩酸や塩化ナトリウムの水溶液の電気分解で生成されるものの(電解型)の他、次亜塩素酸ナトリウムの PH を調整して製品化したもの(非電解型)等がある。次亜塩素酸水の殺菌作用は次亜塩素酸ナトリウムと同様に、遊離塩素による酸化作用で、これまでの報告に、でも各種の新型コロナウイルスに対して不活化効果が認められていた。これらの研究では、pH の異なる AEW、即ち、強酸性の AEW (pH 約 2.5 )および微酸性の AEW (SAEW:slightly acidic electrolysis water:pH 5.0~5.6) のいずれも SARS-CoV-2 不活化活性を有することが示された。SAEW を対象とした試験では、ウイルス液と SAEW との混合比率 1:9 ~ 1: 19 、反応時間 20 秒 の条件下で、残留塩素濃度 (RCC) 30~50ppm のSAEW をよるウイルス不活化活性が確認された。
3) オゾン水
オゾンは、自然界ではフッ素に次ぐ強い強酸力を持っていて、塩素の約7倍。この強力な酸化作用は、殺菌・脱臭・漂白などに利用されている。ヨーロッパでは古くから様々な分野で利用されている。近年、日本でも医療・農業・水産業等、様々な分野で利用されている。
オゾン水ちは、オゾン(O3) を水に溶解させたのもの。低濃度(0.6ppm)のオゾンを含むオゾン水(OW)は、ウイルス液と OW との混合比率 1:100、反応時間 30秒の条件下において、SARS-CoV-2 不活化活性を示すことも報告されている。
また、高濃度のオゾン (10ppm) を含有する OWであは、ウイルス液と OW との混合比率 1:99 、反応時間 5~ 20秒の条件下において、SARS-CoV-2 不活化活性を示すことも報告されている。
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