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2022年3月12日 (土)

Science 新型コロナウイルスパンデミックに対する有効な手指衛生消毒剤のエビデンス ~エタノール、次亜塩素酸水、オゾン水~ ⑧

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6. 未来への提言

 1840年来ヨーロッパでは出産後の多くの母親が産褥熱で死亡した。当時の医師たちは手を洗う習慣がなく、ハンガリー人産婦人科医ゼンメルワイス・イグナーツが産褥熱の原因を医師の手に付着した「腐敗性動物性有機物」と発表した。実際、ゼンメルワイスは手洗いから多くの命を救ったにもかかわらず、当時は「病原菌説」が確率されていないこともあり、医学界では彼の理論は厳しく批判を受けた。

 医師達に手洗いが定着したには彼の死後であった。不遇の医師ゼンメルワイスの発見から、その後 100年の間に WHO や CDC によって手指衛生の理論が構築され、様々な消毒薬が開発されていった。

 一方、1957年にアメリカ人の微生物学者スポルディングは消毒薬を殺菌力から 3 つ(高・中・低水準)に分類した。現在も世界的に「スポルディング分類」は臨床領域に広く活用されており、体系的な理解も得やすい。次亜塩素酸系、アルコール系は中水準に入る。

 しかし、次亜塩素酸系には次亜塩素酸ナトリウムは入るが次亜塩素酸水は入らない。またオゾン水は記載がない。それゆえに、本邦の薬機法からは、次亜塩素酸水やオゾン水は消毒薬ではなく、不活化剤や除菌剤という位置づけになると思われる。

 SRAS-CoV-2やプリオンなどの新しい病原体やその新しい知見に対して、スポルディング分類のブラッシュアップが必要である。時代の変化に対応して、それを探究することが科学である。

 我々は、手指衛生の父・ゼンメルワイスの教えを忘れることなく、次亜塩素酸水やオゾン水に限らず、有事に備えて感染症拡大を抑制するためにも、政府の専門機関が病原体への有効な新規性の不活化剤や殺菌剤を検証し、公表していく必要がある。

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